「どうしてあの部下とはうまくいかないのか」「なぜあの顧客にはうまく伝わらないのか」——その原因は、相手のコミュニケーションスタイルの違いにあることが多いです。私は25歳の頃にソーシャルスタイルという考え方を知り、営業やマネジメントの現場で長年活用してきました。これで人間関係がすべてうまくいくとは言いません。しかし、知らないよりは絶対にいい。この記事では、ソーシャルスタイルの基本と、管理職・営業担当者がすぐに使えるコミュニケーションの読み方を解説します。
この記事でわかること
- 「どんな相手ともうまくやる」——私が25歳から使い続けてきた理由
- ソーシャルスタイルとは何か——4つのタイプの基本
- 4タイプそれぞれの特徴と、接し方のポイント
- 相手のタイプをどうやって見極めるか
- 自分のスタイルを知り、相手に合わせて柔軟に変える
- 管理職・営業担当者がソーシャルスタイルを使うべき場面
「どんな相手ともうまくやる」——私が25歳から使い続けてきた理由
私が営業職として働き始めた25歳の頃、ソーシャルスタイルという考え方に出会いました。
当時の私には、苦手な顧客がいました。何を話しても反応が薄く、感情が読めない。どう接すればいいかわからない。そんな相手に対して、ソーシャルスタイルを知ったことで「この人はこのタイプだから、こういうアプローチが有効なんだ」という視点が生まれました。
私は研修の場で、いつもこう伝えています。
「営業やマネジメントは、どんなタイプの相手ともうまくやれなければいけません。そのためには相手がどのタイプなのかを見極め、タイプごとの特徴に合わせてコミュニケーションをとることが大切です。苦手な相手ともうまくいく可能性が高まります」
だからこそ私は、管理職向けの部下とのコミュニケーション研修・フィードバック研修、そして営業研修の中で、必ずソーシャルスタイルについて触れるようにしています。
正直に言えば、ソーシャルスタイルを知ったからといって、すべての人間関係がうまくいくわけではありません。しかし、知らないよりは絶対にいい。相手に合わせて自分を柔軟に変えていくテクニックとして、ぜひ身につけておいていただきたい技術です。
ソーシャルスタイルとは何か——4つのタイプの基本
ソーシャルスタイルとは、人のコミュニケーションスタイルを4つに分類したフレームワークです。1960年代にアメリカの産業心理学者デビッド・メリルとロジャー・リードが提唱したもので、現在でも世界中の営業研修・マネジメント研修で広く活用されています。
2つの軸でスタイルを分類します。
この2軸を組み合わせることで、次の4つのスタイルが生まれます。
4タイプそれぞれの特徴と、接し方のポイント
ドライビング(主張強・感情抑)
特徴:結果・効率・スピードを重視します。決断が速く、リーダーシップがある一方、感情をあまり表に出さず、単刀直入なコミュニケーションを好みます。遠回しな話や無駄な雑談を嫌う傾向があります。
・結論から先に話す(「要するに〇〇です」)
・無駄な前置きや雑談を省く
・「どうすれば目標を達成できるか」という視点で話す
・選択肢を提示して、本人に決めてもらう
エクスプレッシブ(主張強・感情豊)
特徴:感情豊かで表現力があり、人を巻き込むことが得意です。アイデアが豊富でビジョンを語るのが好きな一方、細かいことや数字への関心は薄いことがあります。承認・共感を求める傾向が強いです。
・まず「いいですね!」と感情的な共感を示す
・ビジョン・夢・大きな絵を語る場を作る
・褒めることを惜しまない
・細かいデータより「みんながどう感じるか」を伝える
アナリティカル(主張控・感情抑)
特徴:データ・事実・論理を重視します。慎重で正確さを好み、物事を深く分析してから動きます。感情表現が少なく、一見冷たそうに見えることもありますが、内面では深く考えています。即断即決は苦手です。
・根拠・データ・事例を丁寧に提示する
・「考える時間」を十分に与える
・感情的な訴えより論理的な説明を重視する
・資料・数字・比較表などを活用する
エミアブル(主張控・感情豊)
特徴:人間関係・チームの和・協調を最も大切にします。温かく親しみやすい一方、対立を嫌うため、自分の意見を強く主張することが苦手です。周囲の感情・雰囲気にとても敏感です。
・まず関係づくり・雑談を大切にする
・「みんなにとってどういい影響があるか」を伝える
・意見を押しつけず、本人のペースを尊重する
・感謝・ねぎらいの言葉を積極的に伝える
相手のタイプをどうやって見極めるか
ソーシャルスタイルの活用で最初に難しいのが、「相手がどのタイプか」を見極めることです。次の観察ポイントが参考になります。
注意点として、人は必ずしも一つのスタイルに完全に当てはまるわけではありません。状況や相手によってスタイルが変わることもあります。「このタイプだから絶対にこう」と決めつけるのではなく、仮説として持ちながら接し方を調整するという姿勢が大切です。
自分のスタイルを知り、相手に合わせて柔軟に変える
ソーシャルスタイルの活用において、最も重要なのは「自分のスタイルを知ること」です。
自分が「ドライビング」タイプであれば、「エミアブル」タイプの部下・顧客に対して、無意識に「なぜ決断が遅いのか」「なぜはっきり意見を言わないのか」とイライラしてしまいがちです。しかし相手のスタイルを知れば、「この人は関係性を大切にするタイプだから、まず信頼関係を作ることが先決だ」と理解できます。
これが、私が研修で伝えている「相手に合わせて自分を柔軟に変えていくテクニック」の本質です。自分のスタイルを変えるのではなく、相手のスタイルに合わせてアプローチを変えるという発想が、コミュニケーションの幅を広げます。
管理職・営業担当者がソーシャルスタイルを使うべき場面
-
部下への指示・フィードバックの場面
ドライビングの部下には端的に結果を求め、エミアブルの部下には感謝と承認を先に伝える。同じ内容でも、伝え方を変えるだけで受け取り方が変わります。 -
営業・商談の場面
アナリティカルの顧客には数字・根拠を丁寧に、エクスプレッシブの顧客にはビジョンと熱量を持って伝える。「この顧客はどのタイプか」を意識するだけで、提案の刺さり方が変わります。 -
苦手な相手との関係改善
「あの人とはどうしても合わない」と感じる相手こそ、スタイルが大きく異なる可能性があります。相手のスタイルを理解することで、「なぜそう動くのか」が見えてきます。
まとめ:知らないよりは絶対にいい——相手に合わせる技術を身につける
ソーシャルスタイルは、「これを知れば人間関係がすべてうまくいく」という魔法ではありません。しかし私が25歳から営業・マネジメントの現場で使い続けてきたように、相手のタイプを読み、自分のアプローチを柔軟に変えていくことで、確実にコミュニケーションの幅は広がります。
どんなタイプの部下とも・顧客とも・同僚ともうまくやれる人材が、これからの職場で求められるリーダー・営業担当者です。ソーシャルスタイルは、そのための最初の一歩として、ぜひ身につけておいていただきたい技術です。
あわせて読みたい記事
部下・顧客とのコミュニケーション力を高めたい方へ
ソーシャルスタイルを活用したコミュニケーション研修・営業研修の導入、個人での動画学習、無料相談など、目的に合わせてご活用ください。
田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。25歳からソーシャルスタイルを営業・マネジメントに活用し続けてきた実践派講師。年間170回以上の企業研修・講演を行い、コミュニケーション研修・営業研修・面接官トレーニング・コーチング・ハラスメント防止を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。2026年8月30日、著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』発売。