今の新卒採用市場は、超売り手市場です。就活生が内定を辞退する企業数は平均3.4社にのぼるというデータもあり、内定を出したあとも、他社との「人材争奪戦」が続くのが現実です。この激しい競争の中で、今あらためて注目されているのが「リクルーター」の存在です。不安や悩みを抱えながら就職活動を行う学生に寄り添い、信頼関係を築く役割を担うリクルーターは、内定辞退を防ぐ重要な鍵になります。この記事では、リクルーターの必要性・役割・活動内容・向いている人材について解説します。

この記事でわかること

  1. 内定を出してからが本当の勝負——今の新卒採用市場の現実
  2. なぜ今、リクルーターの存在が重要なのか
  3. リクルーターの役割——何を目的とした存在なのか
  4. リクルーターの具体的な活動内容
  5. リクルーターに向いている人材の特徴
  6. リクルーター強化で新卒採用を成功させた事例

内定を出してからが本当の勝負——今の新卒採用市場の現実

今の新卒採用市場は、企業側にとって非常に厳しい状況にあります。学生が内定を辞退する企業数は、平均で3.4社というデータもあります。つまり、多くの就活生が複数の内定を保有し、最終的にその中から1社を選んでいるのです。

さらに、内定を出した学生のうち実際に入社を承諾する割合、いわゆる内定承諾率は、平均で4割に満たないという調査結果もあります。つまり、内定を出しても、半数以上の学生が他社を選んでいるということです。

内定は「ゴール」ではなく、「本当の勝負の始まり」です。

この現実を前提に採用活動を設計しなければ、どれだけ選考のプロセスを頑張っても、最後の最後で他社に選ばれてしまうということが起こり続けます。


なぜ今、リクルーターの存在が重要なのか

就職活動をしている学生は、複数の企業を同時に見比べながら、常に大きな不安と向き合っています。「この会社で本当にいいのだろうか」「他の学生はどう考えているのだろうか」「入社後、うまくやっていけるだろうか」——こうした不安を抱えたまま、選考が進んでいきます。

この不安を解消し、企業への信頼を育てる存在がリクルーターです。人事担当者とは違う立場で、学生に近い目線で寄り添い、継続的な関係を築いていく——この役割が、内定辞退を防ぐ最も効果的な打ち手のひとつになっています。

選考中から内定後まで、一貫して同じ人物が寄り添い続けるということ自体が、学生にとって大きな安心材料になります。「人事の誰かに担当されている」のではなく、「〇〇さんが自分のことを気にかけてくれている」という個人的な信頼関係が、他社との比較の中で決め手になることが少なくありません。


リクルーターの役割——何を目的とした存在なのか

リクルーターの目的は、単に「学生と仲良くなること」ではありません。次の3つの目的を果たす存在です。

不安の解消
就職活動そのものへの不安、企業選びへの迷い、選考に対する緊張——学生が抱えるさまざまな不安を、対話を通して和らげる。
信頼関係の構築
継続的な接点を持ち、「この人になら本音を話せる」という関係性を築く。企業に対する信頼は、多くの場合「人」への信頼から生まれる。
動機づけ
学生自身のキャリア観・価値観を丁寧に聴きながら、自社で働く意味・魅力を、学生の言葉に合わせて伝えていく。

リクルーターの具体的な活動内容

1
個別面談・カジュアル面談
選考とは切り離した形で、学生の悩みや希望を丁寧にヒアリングする場を設ける。
2
継続的な連絡・フォロー
選考の合間、内定後の期間に、定期的な連絡を通じて関係を維持する。
3
OB・OG訪問への対応
実際の社員としての実体験・働き方をリアルに伝え、企業理解を深めてもらう。
4
懇親会・座談会の企画・運営
複数の学生・社員が交流できる場を作り、企業の雰囲気を肌で感じてもらう。
5
人事へのフィードバック
学生との対話で見えた懸念点・迷いを人事部門に共有し、選考・フォロー施策の改善に活かす。

リクルーターに向いている人材の特徴

リクルーターは、誰にでも務まる役割ではありません。次のような特性を持つ人材が向いています。

相手の話を丁寧に聴ける傾聴力がある人
学生の不安や本音を引き出すには、まず「聴く力」が不可欠です。
自社への理解と誇りを持っている人
自社の魅力を自分の言葉で語れることが、学生の心を動かします。
継続的にフォローする責任感がある人
単発の対応ではなく、長期にわたって関わり続ける粘り強さが求められます。
誠実に、包み隠さず伝えられる人
良い面だけでなく、実際の課題も含めて誠実に伝えられる人が、最終的に信頼を得ます。
学生と年齢が近く、共感を持てる人
入社2〜5年目程度の若手社員は、学生の悩みに実感を持って寄り添いやすい存在です。

リクルーター強化で新卒採用を成功させた事例

私が研修を担当したクライアント企業の中にも、リクルーターの育成・強化に取り組んだことで、新卒採用を成功させたケースがありました。

それまでその企業では、リクルーターの役割が明確に定義されておらず、若手社員が場当たり的に学生対応をしている状態でした。しかし、リクルーターとしての心得・傾聴の技術・フォローの設計を体系的に研修で身につけたことで、学生との関係の質が大きく変わりました。

リクルーターが学生一人ひとりに丁寧に向き合い、継続的なフォローを行うようになった結果、内定辞退率の改善につながりました。「人事担当者」ではなく「〇〇さん」という個人との関係性が、他社との比較の中での決め手になったのです。


まとめ:内定辞退が当たり前の時代だからこそ、リクルーターが鍵になる

内定辞退企業数が平均3.4社、内定承諾率が4割に満たないという現実の中で、「内定を出せば終わり」という発想はもはや通用しません。

学生一人ひとりの不安に寄り添い、継続的な信頼関係を築くリクルーターの存在は、今後さらに重要性を増していきます。リクルーターの役割を体系的に整理し、必要なスキルを育成すること——これが、激しい人材争奪戦の中で選ばれる企業になるための、確実な一歩です。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。リクルーター育成研修にも定評があり、実際に新卒採用の成功に導いた実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する