「言ったつもりなのに、伝わっていなかった」——職場で、こんな経験はありませんか。実は、コミュニケーションがうまくいかない原因の多くは、話し方が下手だからではなく、気づかないうちに存在している「3つの壁」にあります。この記事では、職場のすれ違いを生む3つの壁の正体と、その壁とどう付き合っていけばいいかを解説します。
この記事でわかること
- すれ違いを生む、共通する3つの壁
- 壁①:世代の違い——重視する伝達手段のギャップ
- 壁②:年齢・経験の違い——「暗黙の了解」が通じない
- 壁③:ポジションの違い——見えている景色がそもそも違う
- 3つの壁との付き合い方——「障害」ではなく「前提」にする
すれ違いを生む、共通する3つの壁
まず、少し振り返ってみてください。コミュニケーションが「うまくいかなかった」と感じた経験、ありませんか?誰と、どんな場面でしたか。上司、部下、同僚、他部署——思い浮かんだ場面があれば、それは決して珍しいものではありません。
職場のコミュニケーションのすれ違いには、共通する3つの壁が存在します。
この3つの壁を知っているかどうかで、日々のコミュニケーションの質が大きく変わります。一つずつ見ていきましょう。
壁①:世代の違い——重視する伝達手段のギャップ
上の世代と下の世代では、「何を重視してコミュニケーションを取るか」が大きく異なります。
このギャップは、実際の会話にもはっきりと表れます。
下の世代のトーク:「それって、必要ですか?」——対等な関係を前提にした話し方になりやすい
どちらが正しい・間違っているという話ではありません。それぞれが育ってきた環境の中で、自然に身についた「当たり前」が違うだけなのです。
壁②:年齢・経験の違い——「暗黙の了解」が通じない
次の会話を見てください。
新人:(「いつもの感じ」って、何だろう……)
経験が浅いほど、「暗黙の了解」は伝わりません。同じ指示でも、受け取り方はまったく違ってしまいます。もう一つ、こんな場面もよくあります。
若手社員:(聞かないと分からないのに、聞くタイミングが分からない……)
「これくらい常識」と思うレベルは、経験によってまったく違います。ベテランにとっては当たり前でも、経験の浅い相手には、まだ「当たり前」になっていないことがほとんどです。
壁③:ポジションの違い——見えている景色がそもそも違う
見えている景色が違えば、優先順位も違います。同じ会社にいても、ポジションによって「何を優先しているか」がまったく異なるのです。
「なぜあの人は、こんな細かいことにこだわるんだろう」「なぜあの人は、そんな先のことばかり考えているんだろう」——こう感じたとき、それは相手の性格ではなく、その人が座っている椅子から見える景色が、自分とは違うだけかもしれません。
3つの壁との付き合い方——「障害」ではなく「前提」にする
ここまで見てきた3つの壁は、なくすことのできないものです。しかし、「障害」として捉えるのではなく、「最初から存在する前提」として付き合っていくことはできます。
3つの壁との付き合い方
世代の違い——自分の「当たり前」を疑ってみる
年齢・経験の違い——前提を省略せず、具体的に伝える。5W1Hをトーク内で押さえる
ポジションの違い——相手の見ている景色を想像してみる
それぞれの違いに気づき、「自分の当たり前は、相手の当たり前ではないかもしれない」と一呼吸置くこと——これが、次の記事でお伝えする具体的な「聴き方・伝え方」の土台になります。
📚 このテーマは全3回シリーズでお届けします
第1回:部下に伝わらない本当の理由——世代・年齢・ポジションで変わるコミュニケーションの壁(本記事)
第2回:【保存版】PREP法・SDS法・アイメッセージ——今日から使える聴き方・伝え方の全技術
第3回:挨拶、感謝、声かけ——今日からできる職場を円滑にする3つの小さな実践
世代・役職を越えたコミュニケーションを組織で強化したい方へ
コミュニケーション研修の導入、個人での動画学習、無料相談など、目的に合わせてご活用ください。
田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。世代間・役職間のコミュニケーション研修、面接官トレーニング、ハラスメント防止、提案営業力強化を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する