面接直後は鮮明に覚えていた候補者の印象も、時間が経つと驚くほど曖昧になります。評価シートの書き方一つで、後から見返したときの判断材料の質がまったく変わります。「良い人だった」「印象が良かった」という曖昧な記録では、二次面接官への引き継ぎにも、後日の比較検討にも使えません。この記事では、具体例とともに、面接後に残すべき評価シートの書き方を解説します。

この記事でわかること

  1. なぜ評価シートの書き方が重要なのか
  2. ダメな評価シートの特徴——3つの共通パターン
  3. 【具体例】曖昧な記録 → 使える記録への書き換え
  4. 評価シートに書くべき5つの項目
  5. 「事実」と「所感」を分けて書く
  6. 評価シートを書くタイミングと時間の目安

なぜ評価シートの書き方が重要なのか

面接での記憶は、想像以上に早く薄れていきます。1日に複数の候補者と面接すれば、翌日には「あの候補者、どんな話をしていたか」があやふやになることも珍しくありません。

評価シートは、「未来の自分」「二次・最終面接官」「後日の比較検討」のために書くものです。曖昧な記録は、これらすべての場面で役に立ちません。逆に、具体的な記録が残っていれば、複数の候補者を比較するときも、選考理由を後から説明するときも、迷わず判断できます。


ダメな評価シートの特徴——3つの共通パターン

印象だけを書いている
「感じが良かった」「明るい人」——なぜそう感じたのかの根拠がなく、後から読んでも判断材料にならない。
質問と回答をそのまま書き写している
議事録のように長々と記録しているだけで、結局「何が評価できて、何が懸念点なのか」が見えてこない。
合否の結論しか書いていない
「合格」「不合格」だけでは、なぜその判断に至ったのかが誰にも(未来の自分にも)わかりません。

【具体例】曖昧な記録 → 使える記録への書き換え

❌ 曖昧な記録 ✅ 使える記録
コミュニケーション力が高い 質問の意図を的確に捉え、結論から簡潔に回答していた。深掘り質問にも詰まらず対応
主体性がありそう 前職で「担当外だったが、課題に気づき自ら上司に改善提案をした」という具体的行動あり
少し不安な点あり 転職理由を3回異なる聞き方で確認したが、いずれも回答が抽象的で一貫性に欠ける
熱意が感じられた 自社の直近のプレスリリース内容に触れ、「〇〇の取り組みに関わりたい」と具体的に言及
おとなしい印象 発言は少なめだが、質問には簡潔かつ的確に回答。沈黙後も焦らず自分の言葉でまとめていた

ポイントは、「〇〇力がある」という抽象的な評価語ではなく、「何を見て、そう判断したか」という根拠となる行動・発言を残すことです。


評価シートに書くべき5つの項目

1
確認した行動事実
深掘りした具体的なエピソードと、そこで確認できた行動・思考プロセス
2
評価項目ごとの根拠
自社の求める人物像の各項目について、それぞれ何を根拠に評価したか
3
懸念点・要確認事項
次の面接官が重点的に確認すべき点を明記(例:転職理由の一貫性、特定スキルの深さなど)
4
候補者からの逆質問の内容
どんな質問をしてきたかは、志望度・関心の方向性を知る貴重な情報
5
総合評価と、その理由
「合格・不合格・要検討」の結論と、その判断に至った具体的な理由をセットで記載

「事実」と「所感」を分けて書く

評価シートを書くときは、「確認できた事実」と「自分がどう感じたか(所感)」を、明確に分けて記載することが重要です。

記載例

【事実】前職でチームリーダーを2年経験。メンバー5名の目標管理と週次1on1を実施していたと回答
【所感】実際にメンバーの目標設定や進捗管理を主体的に行っていた様子がうかがえた。二次面接では、より難易度の高いマネジメント業務(評価面談・目標未達時の対応など)についても質問し、適性を確認してください

この分け方をしておくと、二次面接官は「事実」だけを引き継ぎ情報として受け取り、そこに自分自身の視点を加えて評価できるようになります。一次面接官の主観が、そのまま次の判断に影響しすぎることを防げます。


評価シートを書くタイミングと時間の目安

理想のタイミング
面接終了直後、次の予定に入る前の5〜10分間
避けたいタイミング
複数の面接をこなした後、まとめて記憶を頼りに記入すること

記憶は時間とともに薄れ、後から書くほど「印象」に頼った曖昧な記録になりがちです。面接直後の数分間を、評価シート記入の時間として、あらかじめスケジュールに組み込んでおくことをおすすめします。


まとめ:評価シートは正確な判断を支える重要な資料

評価シートは、面接官自身の記憶が薄れた後も、二次面接官や後日の比較検討の場面でも、正確な判断を支える重要な資料です。「印象」ではなく「事実」を、具体的な行動・発言の形で残すこと——このひと手間が、採用の精度を大きく左右します。

次の面接から、ぜひこの記事の具体例を参考に、「なぜそう感じたのか」まで書き残す評価シートを実践してみてください。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する