先日、ある企業様での講演の質疑応答で、こんなご質問をいただきました。「若い人を見ていると、あまり覇気が感じられない、やる気がなさそうに見える人が多い。これは世代的な特徴なのか、それともそう見える人たちの、単なるキャラクターなのか」——非常に率直で、多くの管理職が心の中で感じているであろう疑問です。私はこの質問に、「世代的な特徴ではなく、その人のキャラクターです」とお答えしました。この記事では、その理由を詳しく解説します。

この記事でわかること

  1. 講演でいただいた、率直な質問
  2. なぜ「世代の特徴」ではなく「キャラクター」だと言えるのか
  3. 「覇気がない」ように見える、その正体
  4. 世代論に頼りすぎることの、落とし穴
  5. 「覇気がなさそうに見える」部下への、正しい向き合い方
  6. 見た目の印象だけで、才能を見誤らないために

講演でいただいた、率直な質問

ある企業様での講演の際、質疑応答の時間にこんなご質問をいただきました。

「若い人を見ていると、あまり覇気が感じられない、やる気がなさそうに見える人が多いように思います。これは世代的な特徴なのでしょうか。それとも、そういう風に見える人たちの、単なるキャラクターなのでしょうか」

非常に率直で、多くの現場の管理職が実感として持っている疑問だと思います。私はこの質問に対して、「世代的な特徴ではなく、その人のキャラクターです」とお答えしました。


なぜ「世代の特徴」ではなく「キャラクター」だと言えるのか

世代論は、価値観・仕事観・コミュニケーション手段の傾向を説明するには有効です。しかし、「覇気があるかないか」「やる気があるように見えるかどうか」という表現の強さは、世代とはまったく別の軸にあります。

どの時代にも、感情や熱意を表に大きく出す人と、内に秘めて静かに表現する人の両方が存在してきました。これは世代の変化によって生まれた現象ではなく、人間の気質・性格の多様性として、いつの時代にも一定の割合で存在するものです。

もし「覇気のなさ」が世代特有の現象だとすれば、上の世代には「覇気のない人」が一人もいなかったことになりますが、そんなことはありません。静かなタイプの人は、どの世代にも一定数存在していたのです。


「覇気がない」ように見える、その正体

「覇気がない」という印象は、多くの場合、次のような特性の組み合わせから生まれています。

感情表現が控えめな気質——内心では熱意を持っていても、表情や声のトーンに出にくいタイプ
慎重に考えてから行動するタイプ——じっくり考えるプロセスが、周囲には「動きが鈍い」と映ることがある
単純に緊張・遠慮している——特に入社間もない時期は、萎縮して積極性が発揮できていないだけのことも多い

これらはすべて、「その人個人の性格・状況」であり、世代を理由に説明できるものではありません。ソーシャルスタイルで言えば、感情表現が控えめな「ドライビング型」や「アナリティカル型」の人が、単に「覇気がない」ように見えているだけ、というケースも多くあります。


世代論に頼りすぎることの、落とし穴

世代の特徴を理解することは、コミュニケーションを円滑にする上で有効です。しかし、あらゆる現象を「世代のせい」で片づけてしまうことには、大きな落とし穴があります。

「今の若い人は覇気がない」と一括りにしてしまうと、本当は熱意を持って取り組んでいる個人の努力や本音を、見逃してしまうリスクがあります。世代論は「傾向を知るための仮説」であって、「個人を説明するための答え」ではありません。この線引きを誤ると、目の前の一人ひとりを正しく理解する機会を失ってしまいます。


「覇気がなさそうに見える」部下への、正しい向き合い方

・表情や声のトーンだけで、やる気の有無を判断しない
・実際の行動・成果を、印象より優先して評価する
・「本当はどう感じているか」を、直接言葉で確認する
・静かなタイプの人にも、活躍できる役割・場面を用意する

「覇気がなさそうだ」という印象だけで判断せず、その人が実際にどんな行動を取っているか、どんな成果を出しているかを丁寧に見ることが、正しい評価につながります。


見た目の印象だけで、才能を見誤らないために

面接の場面でも、同じことが言えます。物静かで表現が控えめな候補者を「意欲が低い」と評価してしまうのは、面接官が陥りやすい典型的な見誤りです。

表現の強さと、意欲の高さは、
必ずしも一致しない。

これは採用の場でも、日々のマネジメントの場でも、共通して意識しておきたい原則です。「見た目の印象」ではなく「実際の行動・成果」で評価する——この基本を徹底することが、世代を問わず、一人ひとりの才能を見誤らないための確実な方法です。


まとめ:それは世代ではなく、その人のキャラクターです

「若い人に覇気が感じられない」という印象は、世代的な特徴ではなく、その人個人の気質・性格から来ていることがほとんどです。感情表現の強さは、いつの時代にも人によって差があり、それは今の若い世代に限った現象ではありません。

大切なのは、表面的な印象で「やる気がない」と決めつけず、実際の行動や成果を丁寧に見ることです。この視点を持つだけで、静かなタイプの部下・候補者の本当の力を、見逃さずに済むようになります。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。ソーシャルスタイル・世代間コミュニケーション・面接官トレーニング・管理能力養成を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。