「グループ面接になると、何を見ればいいのかわからなくなります」——私が行う面接官トレーニングの研修で、非常によくいただく相談です。1対1の個別面接とは違い、グループ面接には特有の難しさがあります。発言力の強い候補者だけが目立ってしまう、静かな候補者を見落としてしまう——こうした悩みを解消するために、この記事ではグループ面接の正しい進め方と、個別面接との使い分け方を解説します。

この記事でわかること

  1. 「何を見ればいいのかわからない」——研修でよく聞かれる悩み
  2. グループ面接とは何か——個別面接との違い
  3. グループ面接でおかしがちな3つの失敗
  4. グループ面接を機能させる進め方の技術
  5. グループ面接と個別面接の使い分け方
  6. グループ面接で確認したい能力・観点

「何を見ればいいのかわからない」——研修でよく聞かれる悩み

私が行う面接官トレーニングの研修で、非常によく寄せられる相談があります。

「グループ面接の進め方がよくわかりません。何人もの候補者を同時に見なければならず、どこに注目すればいいのか、混乱してしまいます」

この悩みは、決して珍しいものではありません。1対1の個別面接であれば、候補者一人に集中して深掘り質問ができます。しかしグループ面接になると、複数の候補者を同時に観察し、それぞれに公平に発言機会を与えながら、個々の能力を見極めるという、まったく異なる技術が必要になります。

「進め方がわからない」という悩みの背景には、グループ面接特有の設計・進行の技術を、誰も体系的に教わっていないという現実があります。この記事で、その技術を整理してお伝えします。


グループ面接とは何か——個別面接との違い

グループ面接(1対多)とは、面接官1名(または複数名)に対して、複数の候補者を同時に面接する形式です。主に新卒採用の初期選考で多く用いられます。

  個別面接 グループ面接
主な用途 最終選考・詳細な見極め 初期選考・大量の候補者のスクリーニング
深掘りの度合い 深く・具体的に確認できる 浅く・広く比較確認する
見える情報 個人の行動・思考の深さ 集団での立ち振る舞い・比較優位性
効率性 1人あたりの時間がかかる 短時間で多くの候補者を確認できる

グループ面接は、「効率よく多くの候補者を比較・スクリーニングする」ための手法であり、個別面接のような深い見極めには向いていません。この特性を理解しないまま進めると、多くの失敗が起きます。


グループ面接でおかしがちな3つの失敗

1 発言力の強い候補者だけが目立ってしまう

グループの中には、積極的に発言する候補者と、控えめな候補者が混在します。面接官が意識的に発言機会を管理しないと、声の大きい候補者の印象だけが強く残り、静かな候補者の実力を見逃してしまいます。控えめな候補者が優秀でないとは限りません。

2 一人ひとりの発言時間・内容が薄くなる

限られた時間を複数人で分け合うため、一人あたりの発言時間はどうしても短くなります。その結果、深掘り質問ができず、表面的な受け答えだけで評価を下すことになりがちです。

3 候補者同士の比較に引きずられる

同じ場にいる他の候補者と無意識に比較してしまい、「この人よりはマシ」「この人よりは見劣りする」という相対評価に偏りがちです。本来は、その候補者自身が自社の求める人物像に合っているかを絶対評価すべきです。


グループ面接を機能させる進め方の技術

①発言順を固定せず、ランダムに指名する

毎回同じ順番で発言させると、後半の候補者は前の人の回答に影響されやすくなります。質問ごとに発言順を変える、あるいはランダムに指名することで、各候補者の素の反応を見ることができます。

②発言時間を意識的に管理する

「一人30秒で」「一人1分以内で」というように、時間の目安を最初に伝えることで、発言力の強い候補者が場を独占することを防ぎます。同時に、控えめな候補者にも均等に発言機会が回るようにします。

③静かな候補者にも意識的に話を振る

自分から発言しない候補者に対しては、「〇〇さんはどう思いますか?」と面接官から意識的に話を振ることが重要です。控えめな性格であることと、能力が低いことはまったく別の話です。

④評価は候補者ごとに独立してメモを取る

他の候補者との比較ではなく、「この候補者は、自社が求める人物像に対してどうか」という絶対評価を、それぞれ個別にメモしながら進めます。全員の発言が終わってから、まとめて評価しようとすると印象が薄れてしまいます。

⑤同じ質問を全員にすることで比較可能にする

同じ質問を全員に投げかけることで、候補者間の考え方・アプローチの違いが明確になります。バラバラの質問をすると、公平な比較ができなくなります。


グループ面接と個別面接の使い分け方

グループ面接
が向く場面
応募者が非常に多い初期選考段階。短時間で多くの候補者を比較・スクリーニングし、次の選考に進める人数を絞り込みたいとき。基本的なコミュニケーション力・協調性の大枠を確認する段階。
個別面接
が向く場面
候補者の行動特性・価値観・思考の深さをしっかり見極めたい段階。内定を左右する重要な判断をする最終選考に近い段階。動機づけを行い、入社意欲を高めたい段階。

理想的な選考フローは、「グループ面接で母集団を絞り込み、個別面接で深く見極める」という組み合わせです。グループ面接だけで最終判断を下すことは避けるべきです。


グループ面接で確認したい能力・観点

グループ面接は深掘りには向きませんが、集団の中でしか見えない情報もあります。以下の観点は、むしろグループ面接だからこそ確認しやすいものです。

協調性
他の候補者の発言を聞いているときの態度・反応。他人の意見を尊重できているか。
発信力
限られた時間の中で、自分の考えを簡潔にわかりやすく伝えられるか。
状況把握力
場の空気を読んで、自分の発言のタイミング・分量を調整できているか。

まとめ:グループ面接は「比較」の場、個別面接は「深掘り」の場

「グループ面接の進め方がわからない」という悩みは、決して特別なものではありません。グループ面接と個別面接では、そもそも目的が違うということを理解することが第一歩です。

グループ面接では、発言順のランダム化・時間管理・静かな候補者への配慮・絶対評価の徹底——これらの技術を意識するだけで、公平で有効な選考の場になります。グループ面接で母集団を適切に絞り込み、個別面接で深く見極める——この使い分けが、採用の精度を上げる鍵です。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する