日程調整や面接のリマインドなど、学生とのやり取りにLINEを使う企業が増えています。手軽で返信も早い一方、採用担当者と学生の距離が近くなりすぎる危険もあります。2026年10月1日から、求職者に対するセクシュアルハラスメントの防止措置は企業の義務になりました。面接の場だけでなく、面接後のLINEのやり取りで起きるトラブルにも注意が必要です。この記事では、採用担当者が学生とLINEでやり取りするときの注意点を、ルールと具体的な文例で解説します。
※人事・研修ご担当の方へ:採用担当者・面接官向け研修のご案内は、記事の後半(研修のご紹介)にまとめています。
この記事でわかること
- なぜ「LINE」が面接セクハラのリスクになるのか
- 採用担当者がやってしまいがちなLINEのNG例
- 学生とのLINEで守りたい7つのルール
- そのまま使える、LINEの文例(NGとOK)
- 学生から「個人のLINEを教えて」と言われたとき、逆に誘われたとき
- 人事・研修担当者が整える「採用連絡ルール」
- 面接官向け研修のご紹介(人事・研修ご担当者様へ)
なぜ「LINE」が面接セクハラのリスクになるのか
メールと違い、LINEは日常の連絡手段です。友人とのやり取りと同じ画面で、同じトーンで会話が進みやすく、次のような特徴があります。
厚生労働省の資料では、求職者等に対する性的な言動の例として、性的な事実関係を尋ねること、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触れることなどが挙げられています。対象には、面接の場だけでなく、採用活動の過程で接する場面全般が含まれます。LINEのやり取りも、その例外ではありません。
採用担当者がやってしまいがちなLINEのNG例
次の表は、学生とのLINEで問題になりうる言動の例です。実際に該当するかどうかは、状況や受け手の受け止め方も踏まえて判断されます。「避けるべき言動の目安」として確認してください。
学生とのLINEで守りたい7つのルール
トラブルを防ぐため、採用担当者が守るルールを、シンプルに整理します。
学生とのLINE・7つのルール
①会社として管理するアカウントを使う。担当者の個人アカウントは、原則使わない
②連絡は、選考に関する事務連絡に限る。日程調整、案内、リマインドなど
③連絡は、就業時間内に送る。夜間・休日は避ける
④敬語で、簡潔に書く。絵文字・スタンプは控えめにする
⑤容姿・服装・恋愛・プライベートの話題には触れない
⑥私的な誘いはしない。食事・遊びなど、選考と関係のない誘いはしない
⑦やり取りの記録を残し、複数人で確認できるようにする
特に①と⑦は、担当者個人の判断に任せず、会社のルールとして決めておくことが大切です。会社が内容を確認できる体制があれば、問題の早期発見にもつながります。
人事・研修ご担当者様へ:学生への連絡ルールは、決まっていますか
- 面接官・採用担当者が、個人のLINEで学生に連絡している
- 学生への連絡の内容や時間帯に、決まりがない
- 担当者がどんなやり取りをしているか、会社が把握していない
- 学生に個人の連絡先を求められたときの対応を、伝えていない
一つでも当てはまる場合は、連絡ルールを定め、面接官・採用担当者に基準をそろえて伝える研修が有効です。内容はこの記事の後半でご紹介しています。
そのまま使える、LINEの文例(NGとOK)
①面接の日程を調整するとき
②面接後にお礼を伝えるとき
③返信が遅いとき
④内定者・選考中の学生に、質問されたとき
学生から「個人のLINEを教えて」と言われたとき、逆に誘われたとき
採用担当者から誘わなくても、学生側から個人の連絡先を求められることがあります。「質問しやすいので」「連絡が早いので」という理由が多く、悪気はないケースがほとんどです。それでも、次のように対応することが基本です。
個人の連絡先を求められたときの断り方
「申し訳ありません。会社の決まりで、個人の連絡先ではお答えできないことになっています。ご質問は、こちらの窓口(会社のLINE・メール)にお送りください。」
「決まりなので」と会社のルールを理由にすると、学生を傷つけず、断りやすくなります。そのためにも、会社として、ルールを明文化しておくことが大切です。
また、学生から私的な誘いやプライベートな相談を受けたときも、1人で対応せず、上司や人事部門に共有してください。担当者が個人で抱え込まない体制が必要です。
人事・研修担当者が整える「採用連絡ルール」
2026年10月1日からは、求職者等に対するセクハラの防止措置が、企業の義務になりました。厚生労働省の資料では、方針の明確化・周知、相談体制の整備、事後の迅速な対応、プライバシー保護などが示されています。LINEなどの連絡手段についても、次のように整備しておくと安心です。
ルールは作るだけでなく、面接官・採用担当者の一人ひとりが、自分の言葉で説明できる状態にすることが重要です。
まとめ:LINEは便利だからこそ、ルールで守る
LINEは、学生との連絡を早く、手軽にしてくれる便利な手段です。その反面、距離が近くなりすぎ、個人の判断で連絡が閉じてしまう危険があります。「親しみのつもり」の一言が、学生にとっては断りにくい不快な言動になりえます。
人事・研修ご担当者に求められるのは、連絡手段・内容・時間のルールを決め、面接官・採用担当者に周知することです。そして、現場の一人ひとりが「なぜそのルールが必要なのか」を理解している状態をつくることが、面接セクハラを防ぐ第一歩になります。
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田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。リクルート出身。人材ビジネス業界35年以上、営業経験25年以上、管理職経験25年以上。リクルートグループ2社でトップセールスの実績を誇る。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師で、研修・セミナーの受講者は3万人以上。面接官トレーニング・ハラスメント防止を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。Udemy Business講師。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。