「見て覚えろと言われても、何をどうすればいいのか分からない」「報告に行くと、なぜか不機嫌になられる」「何回言ったらわかるんだ、と言われて固まってしまった」——若手社員の方から、こうした上司との悩みをよく聞きます。上司とのすれ違いは、やる気や能力の問題というより、育ってきた時代の「当たり前」の違いから生まれていることが少なくありません。この記事では、上司が変わるのを待つのではなく、あなた自身が今日から使える、上司とうまくやるためのコミュニケーションの方法を解説します。
※人事・研修ご担当の方へ:若手社員向けの研修の内容は、記事の後半(研修のご紹介)にまとめています。
この記事でわかること
- 上司とのすれ違いは「当たり前」の違いから生まれる
- 上司の言葉の裏にある「本音」を知る
- 「聴く力」と「質問する力」で上司との距離を縮める
- 上司から信頼される、報連相の型
- 上司のタイプ別・接し方のポイント
- 厳しいことを言われたときの受け止め方と返し方
- 明日から始める、上司との関係づくり3つの行動
- 若手社員向け研修のご紹介(人事・研修ご担当者様へ)
上司とのすれ違いは「当たり前」の違いから生まれる
上司や先輩と話がかみ合わないとき、「あの人は分かってくれない」と感じてしまうものです。ただ、相手も「最近の若い人にはどう接すればよいか分からない」と戸惑っていることがあります。
双方が「分かり合えない」と距離を取ってしまうと、仕事の進め方やノウハウを教わる機会が減り、あなたの成長にも影響します。まずは、世代によって「当たり前」が違うことを知っておきましょう。
どちらが正しい、間違っているという話ではありません。「育った環境が違うから、感覚が違う」と捉えるだけで、相手への見方は変わります。
上司の言葉の裏にある「本音」を知る
上司からの厳しい言葉に、落ち込んだ経験はありませんか。上司の立場には、業績、品質、安全、クレーム対応、人手不足といったプレッシャーがあります。そのため、言葉が短く強くなってしまうことがあります。
よくある言葉の裏にある本音を、いくつか見てみましょう。
受け止め方を変える「言い換え」
「否定された」と受け取るのではなく、「この上司は、次に何を直してほしいのだろう」と言い換えて考えてみる。そのうえで、不明な点は「どこを直せばよいか、教えていただけますか」と確認する。
「聴く力」と「質問する力」で上司との距離を縮める
上司との関係をよくする近道は、話し上手になることではありません。聴き上手、質問上手になることです。人は、自分の話を聴いてくれる相手に好意を持ちやすいものです。
上司の話を聴くときの基本
・相手の方を向き、うなずきながら聴く
・「はい」「なるほど」とあいづちを打つ
・大事なところは繰り返す(「納期が来週の火曜ですね」)
・話の途中で自分の話に切り替えない
・スマホやパソコンを見ながら聴かない
「教えてください」の姿勢が、経験を引き出す
上司や先輩は、長年の経験とノウハウを持っています。「教えてください」という姿勢で質問すると、喜んで話してくれる人は少なくありません。質問は、相手への関心を示すことにもなります。
「なんでそうするんですか?」は、言い方によっては相手を責めているように聞こえることがあります。「理由を教えていただけますか」と、学びたい気持ちが伝わる言葉に変えるだけで、受け取られ方は大きく変わります。
上司から信頼される、報連相の型
上司は、仕事の中身だけでなく、報告のしかたそのものからも、あなたの仕事ぶりを見ています。基本の型は、次の3つです。
さらに、「電話や対面での報告が苦手で後回しにしてしまう」という方は、最初の一言を決めておくのがおすすめです。「お忙しいところすみません。1分だけ、ご報告してもよろしいでしょうか」——この一言を決めておくだけで、声をかけるハードルが下がります。
人事・研修ご担当者様へ:若手社員に、こんな様子はありませんか
- 報告・連絡・相談が遅く、ミスの発見が遅れる
- 上司や先輩に質問できず、一人で抱え込んでいる
- 厳しい言い方を受けて萎縮し、元気がなくなった
- 上司の側も「若手にどう接すればよいか」と悩んでいる
一つでも当てはまる場合は、若手社員が自分から上司との関係を築く力を学ぶ研修が役に立ちます。内容はこの記事の後半でご紹介しています。
上司のタイプ別・接し方のポイント
上司も一人ひとり、話の聞き方や好みが違います。コミュニケーションのスタイルを大きく4つに分けて考える「ソーシャルスタイル」の考え方を使うと、上司のタイプに合わせた接し方が見えてきます。
ここでも、「人を型にはめて決めつける」ためではなく、相手が受け取りやすい伝え方を探すヒントとして使ってください。
厳しいことを言われたときの受け止め方と返し方
注意や指摘を受けたとき、その場で言い訳をしたり、黙り込んだりしてしまうと、上司に「伝わっていない」と思われやすくなります。次の4ステップで返してみてください。
指摘を受けたときの返し方・4ステップ
①まず「はい、承知しました」と受け止める
②「申し訳ありません」と、必要な謝罪を一言伝える
③不明な点は「次はどうすればよいか」を確認する
④「ありがとうございます」と、教えてもらったことに感謝する
言い訳をしたくなる場面でも、まず受け止めてから、必要な事情を短く伝えるようにすると、会話がこじれにくくなります。
明日から始める、上司との関係づくり3つの行動
ここまで読んで、「全部は難しい」と感じた方もいるかもしれません。まずは、次の3つから始めてみてください。
明日から始める3つの行動
① 上司に、結論から報告する
② 上司の仕事の話を聴き、一つ質問する
③ 教えてもらったら「ありがとうございます」を伝える
どれも、特別な才能は必要ありません。小さな行動の積み重ねが、上司からの信頼につながります。「最近よく聞いてくるようになったな」と思われたら、関係は確実に変わり始めています。
若手社員向け「上司との協働力アップ研修」のご紹介
この記事の内容を、演習を通じて体験しながら身につける研修です。「上司が変わるのを待つ」のではなく、若手社員自身が世代の違いを理解し、自分から関係を築く力を養います。
研修の特長
・若手の立場に立った研修:「上司が変わるべき」ではなく、若手が自分からできる行動を学びます
・演習が中心:聴く・問う・伝えるを、ロールプレイで体験します
・職場に合わせた題材:業種・職種に合わせた場面をケースに使います
・上司の本音を伝える:管理職向け研修も多数手がける講師が、「上司が本当に思っていること」を解説します
コミュニケーション研修の
詳細を見る
研修の内容・日程・費用を
相談する
まとめ:「わかってくれない」を「わかり合える」に変える
上司とのコミュニケーションは、上司が変わるのを待つより、自分から橋をかけるほうが早く変わります。
世代による「当たり前」の違いを知る。言葉の裏にある上司の本音を考える。聴く・質問する・報連相の型を使う。この3つを実践するだけで、上司との関係は変わっていきます。ただし、人格を否定されるなどのハラスメントにあたる言動は、一人で抱え込まず、必ず相談してください。
若手社員の「上司との関係づくり」を支援したい企業様へ
世代の違いの理解、傾聴・質問、報連相を、演習で身につける研修をご提案します。
対象人数・時間・業種に合わせて、内容をご相談いただけます。
田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。コミュニケーション・管理能力養成・面接官トレーニング・ハラスメント防止を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。