「はい・いいえ」で終わらない、相手が自由に答えられる質問——オープンクエスチョン。頭ではその重要性を理解していても、いざ会話の中で、テンポよく繰り出せるかどうかは、まったく別の話です。私自身、コーチングスキルを学んでいた時期に、10分間で同じテーマのオープンクエスチョンを30個書き出すというトレーニングや、ロールプレイングを通じて、この力を鍛えてきました。この記事では、テンポの良い会話の中でオープンクエスチョンを自在に使えるようになるための、日々のトレーニング方法を解説します。

この記事でわかること

  1. なぜオープンクエスチョンは「知っている」だけでは使えないのか
  2. 私が実践した「10分間30個書き出し」トレーニング
  3. このトレーニングが効果的な理由
  4. ロールプレイングで鍛える、実践的な瞬発力
  5. 日常生活でできる、追加のトレーニング方法
  6. トレーニングを続けるための、無理のないペース配分

なぜオープンクエスチョンは「知っている」だけでは使えないのか

「オープンクエスチョンを使いましょう」というアドバイスは、多くの研修や書籍で語られています。しかし、実際の会話の中で、とっさにオープンクエスチョンが口から出てくるかどうかは、まったく別の技術です。

会話は待ってくれません。相手が話し終えた瞬間に、次の質問を考える時間はほとんどないのが現実です。この「瞬発力」を鍛えるには、知識のインプットだけでなく、体に染み込ませるための反復トレーニングが必要になります。


私が実践した「10分間30個書き出し」トレーニング

私自身、コーチングスキルを学んでいた時期に、次のようなトレーニングを行っていました。

10分間で、同じテーマの
オープンクエスチョンを
30個書き出す。

例えば「最近取り組んでいる仕事について」というテーマを1つ決めたら、「どんな点にやりがいを感じていますか」「難しいと感じるのはどんな部分ですか」「理想的な進め方があるとすれば、どんな形ですか」——というように、同じテーマに対して、視点や切り口を変えながら、ひたすら質問を書き出していきます。


このトレーニングが効果的な理由

質問の「引き出し」が増える
最初の10個程度は比較的すぐに出てきますが、20個、30個と数を重ねる中で、これまで思いつかなかった角度の質問が出てくるようになります。
時間制限が、瞬発力を鍛える
「10分間で30個」という制約があることで、じっくり考える余裕がなくなり、実際の会話に近い、とっさに考える力が鍛えられます。
クローズドクエスチョンとの違いが体に染みつく
書き出しながら「これは『はい・いいえ』で終わってしまうな」と気づく瞬間が何度もあり、オープンクエスチョンの感覚そのものが磨かれていきます。

ロールプレイングで鍛える、実践的な瞬発力

書き出しのトレーニングに加えて、実際に声に出して使う練習も欠かせません。私が行っていたのは、ロールプレイングを通じたトレーニングです。

書き出しのトレーニングは、「考える力」を鍛えるものですが、実際の会話では、それを「その場で口に出す力」も同時に求められます。ロールプレイングを通して、相手の反応を受けながら、その場でオープンクエスチョンを繰り出す練習を重ねることで、書き出しで鍛えた引き出しが、実際の会話でも使える形に変わっていきます。


日常生活でできる、追加のトレーニング方法

・家族や友人との何気ない会話で、意識的にオープンクエスチョンだけを使ってみる
・ニュースや本の感想を、誰かに「オープンクエスチョンだけで」聞いてもらう練習相手になってもらう
・自分がクローズドクエスチョンを使ってしまった瞬間に気づき、その場で言い換えてみる
・1日の終わりに、その日使ったオープンクエスチョンを1つでも思い出してみる

特別な時間を確保しなくても、日常の会話そのものを練習の場にすることで、トレーニングの機会は大きく増やせます。


トレーニングを続けるための、無理のないペース配分

「10分間で30個」は、慣れないうちはかなり大変に感じるかもしれません。最初から完璧を目指さず、無理のない範囲から始めることが、継続の鍵になります。

1週目
10分間で10個を目標に、まず書き出す感覚に慣れる
2〜3週目
10分間で20個を目標に、テーマを変えながら継続する
4週目以降
10分間で30個を目指し、ロールプレイングも組み合わせる

まとめ:書く練習と、話す練習の両輪で身につく

オープンクエスチョンをテンポよく繰り出せるようになるには、知識として知っているだけでは不十分です。10分間で30個書き出すというトレーニングで質問の引き出しを増やし、ロールプレイングで実際に声に出す練習を重ねる——この両輪が揃って初めて、会話の中で自然にオープンクエスチョンが出てくるようになります。

まずは今日、10分間の時間を取って、身近なテーマで質問を書き出すことから始めてみてください。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。コーチング・傾聴力・コミュニケーション・面接官トレーニングを中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。