「Z世代の部下が、何を考えているのかまったく読めない」——コミュニケーション研修を行うと、非常によく出てくる悩みです。表情も変わらず、反応も薄く、何を感じているのかがつかめない。「怒っているのか、納得しているのか、それすらわからない」という声も少なくありません。この記事では、若手部下が「何を考えているかわからない」と感じる本当の理由と、その戸惑いを解消するための具体的な関わり方を解説します。

この記事でわかること

  1. 研修でよく出てくる「何を考えているかわからない」という悩み
  2. なぜ「わからない」と感じるのか——3つの背景
  3. 「表情が読めない」の正体——感情表現のスタイルの違い
  4. 「本音を言わない」の正体——安全性への慎重さ
  5. わからないままにしないための、具体的な関わり方
  6. 「わかろうとする姿勢」そのものが伝わる

研修でよく出てくる「何を考えているかわからない」という悩み

コミュニケーション研修を行うと、管理職・リーダーの方々から、こうした声がよく聞かれます。

「Z世代の部下が、何を考えているのかまったく読めません」
「表情も変わらないし、反応も薄くて、何を感じているのかわからないんです」
「怒っているのか、納得しているのか、それすらつかめません」

この「わからない」という感覚は、決して大げさなものではありません。多くの管理職が、若手部下との関わりの中で、これまでの経験則が通用しない感覚に直面しています。


なぜ「わからない」と感じるのか——3つの背景

感情表現の
スタイルの違い
感情を表に出すことを美徳としない、あるいは対面での感情表現に慣れていない世代的な傾向。感情がないのではなく、「見せ方」が上の世代と異なる。
安全性への
慎重さ
SNSでの発言が思わぬ形で広まる経験を重ねてきた世代として、「発言のリスク」に敏感。本音を安易に見せない慎重さが根付いている。
コミュニケーション
手段の違い
テキストでのやり取りに慣れており、対面での即興的な会話・自己開示にまだ習熟していない。話し下手なのではなく、経験値の差。

重要なのは、「何も考えていない」のではなく、「考えていることを、上の世代が読み取りやすい形で表現していないだけ」だという理解です。この前提を持つだけで、戸惑いの質が変わります。


「表情が読めない」の正体——感情表現のスタイルの違い

「表情が変わらないから、何を感じているかわからない」という声はよく聞きますが、表情の変化が少ないことと、感情がないことはイコールではありません。

上の世代は、対面でのコミュニケーションの中で、表情・声のトーン・仕草といった非言語情報を豊富に使う訓練を積んできました。一方、若手世代は、テキストベースのコミュニケーションで育ち、「言葉そのもの」に感情を込める習慣を持っています。つまり、表情から読み取ろうとするアプローチ自体が、若手部下の実態に合っていない可能性があります。

表情から読み取ろうとするのではなく、「言葉で直接尋ねる」方が、若手部下とのコミュニケーションでは有効な場合が多くあります。「今の説明、率直にどう感じましたか」と、言葉で確認する習慣を持つことをおすすめします。


「本音を言わない」の正体——安全性への慎重さ

「何を考えているか教えてくれない」という悩みの背景には、「この場で本音を言っても大丈夫か」という慎重な判断が働いていることがあります。

これは警戒心の強さというより、「発言には結果が伴う」ということへの意識の高さと捉えることもできます。SNSでの発言が思わぬ反応を呼ぶ環境で育った世代にとって、「発言する前に一度立ち止まる」というのは自然な習性です。

この慎重さを崩そうとして「もっと本音を言ってほしい」と急かすことは逆効果です。むしろ、「ここでは何を言っても評価に響かない」という安全性の実感を、時間をかけて積み重ねることが必要です。


わからないままにしないための、具体的な関わり方

①推測せず、言葉で直接確認する

表情や態度から推測するのではなく、「今の話、どう感じましたか」「何か気になる点はありますか」と、シンプルに言葉で尋ねることを習慣にします。曖昧な推測より、直接的な確認の方が確実です。

②テキストでのやり取りも選択肢に入れる

対面での即答が苦手な部下には、「後でチャットでも構わないので、思ったことがあれば教えてください」という選択肢を用意します。得意な表現手段を尊重することで、本音が引き出しやすくなります。

③「わからない」ことを、そのまま伝える

意外に効果的なのが、「正直、あなたが今何を考えているのか、私にはよくわからないので、教えてもらえますか」と、率直に伝えることです。上司の側から弱さを見せることで、若手部下も話しやすくなります。

④小さな発言も、しっかり拾う

若手部下がぽつりと発した一言を、聞き流さずに「今の話、もう少し聞かせてください」と拾う姿勢を続けます。発言が拾われる経験が積み重なることで、話すことへの安心感が育ちます。


「わかろうとする姿勢」そのものが伝わる

「何を考えているかわからない」という戸惑いを完全に解消することは、簡単ではありません。しかし、「わかろうとしている」という姿勢そのものが、若手部下に伝わります。

「わからない」は、
関わりをやめる理由ではなく、
関わり続ける理由になる。

表情や態度から一方的に判断するのではなく、言葉で確認し、安全性を積み重ね、小さな発言を拾い続ける——この地道な関わりの積み重ねが、いずれ「何を考えているかわからない」という戸惑いを、少しずつ解消していきます。


まとめ:読めないのではなく、読み方が違うだけ

「Z世代・若手部下が何を考えているかわからない」——この戸惑いは、部下に問題があるのではなく、上の世代が慣れ親しんできた「読み取り方」が通用しにくくなっていることから生まれています。

表情ではなく言葉で確認する。安全性を時間をかけて積み重ねる。小さな発言を拾い続ける——この関わり方の転換が、若手部下との距離を着実に縮めていきます。

📚 若手管理職・リーダーのコミュニケーション悩みシリーズ

第1回:年上部下の扱い方に困っていませんか——年下上司が使える指示・注意の技術
第2回:1on1で部下が話さない——問いかけても口を開かない部下の心理と対応法
第3回:Z世代・若手部下が何を考えているかわからない——戸惑う上司のための理解と対応法(本記事)


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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。Z世代マネジメント・傾聴力・コミュニケーション・面接官トレーニング・ハラスメント防止を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。