「面接で何を話せばいいかわからない」——初めて面接官を任された方から、非常によくいただく悩みです。私がこれまで研修やセミナーで多くの面接官を見てきた中で気づいたのは、質問に困った人ほど、応募者の言葉に対して褒めコメントを長く返してしまうということです。「素晴らしいですね」「よくわかります」——相手に寄り添っている雰囲気は出せても、結局、知りたいことは何もわからないまま面接が終わってしまいます。この記事では、初めて面接官になった方が最低限決めておきたい、10個の質問リストをご紹介します。

この記事でわかること

  1. 「褒めコメント」で終わってしまう面接の落とし穴
  2. 質問に困ったときに陥りやすいパターン
  3. 【10選】最低限決めておきたい質問リスト
  4. この10個をどの順番で使うか
  5. 質問した後、次に困らないための一工夫

「褒めコメント」で終わってしまう面接の落とし穴

私はこれまで多くの研修・セミナーで、面接官のロールプレイを見てきました。その中で気づいたことがあります。「面接で何を話せばいいかわからない」という悩みを持つ人ほど、応募者の言葉に対して長い褒めコメントを返す傾向があるということです。

応募者:「アルバイトでリーダーを任され、シフト管理を工夫しました」
面接官:「それは素晴らしいですね!リーダーシップがあるのが伝わってきます。責任感も強そうですし、そういう主体的な姿勢はとても大事だと思います」

一見、丁寧に応対しているように見えます。しかし、この対応で候補者について何が具体的にわかったでしょうか。「シフト管理をどう工夫したのか」「なぜその方法を選んだのか」「うまくいかなかったことはあったのか」——こうした具体的な情報は、何一つ得られていません。

「相手の話に寄り添っている感じ」を出すだけで、結局知りたいことは何もわからない。コミュニケーションの印象が良かったかどうか、それだけの判断で終わってしまう——これが、質問に困った面接官が陥りやすい典型的なパターンです。


質問に困ったときに陥りやすいパターン

「次に何を聞けばいいかわからない」という瞬間、面接官の頭の中にはいくつかの選択肢があります。

褒めコメントで場をつなぐ
沈黙が怖くて、とりあえず好意的な感想を返してしまう。次の質問を考える時間稼ぎにもなってしまっている。
次の話題に急いで移ってしまう
深掘りせず、用意していた次の質問に切り替えてしまい、表面的なやり取りが続く。
沈黙が気まずく、自分から話し始めてしまう
「私も学生時代は〜」と自分の経験を話し出し、主役が入れ替わってしまう。

これらはすべて、「質問の引き出しが少ない」ことが根本原因です。事前に「これだけは聞く」という質問を決めておけば、こうした事態は避けられます。


【10選】最低限決めておきたい質問リスト

初めて面接官になった方が、まず覚えておくべき10個の質問です。この型を持っているだけで、「何を話せばいいかわからない」という不安は大きく減ります。

1
「その経験に取り組み始めたきっかけは何ですか?」
動機を確認する質問。受け身か主体的かが見えてきます。
2
「具体的に、あなた自身は何をしましたか?」
最重要の質問。「チームで」「みんなで」という答えが出たら、必ずこの質問で個人の行動に絞ります。
3
「なぜ、そのように判断したのですか?」
行動の裏にある思考プロセスを確認する質問です。
4
「その中で、うまくいかなかったことはありましたか?」
困難への対処力・ストレス耐性を確認する質問です。
5
「そのとき、どう対応しましたか?」
質問④とセットで使う、困難への具体的な行動を確認する質問です。
6
「その結果、どうなりましたか?」
行動と成果のつながりを確認する質問です。
7
「その経験から、何を学びましたか?」
自己内省力・学びを言語化する力を確認する質問です。
8
「なぜ弊社を志望されたのですか?」
志望動機の確認。表面的な回答でも、次の質問⑨で深掘りします。
9
「他にも似たような会社がある中で、なぜ弊社なのですか?」
志望動機を一段深掘りし、本気度・企業研究の深さを確認します。
10
「何か質問はありますか?」
逆質問の時間。候補者の関心の深さ・入社意欲を確認できる、締めくくりに欠かせない質問です。

この10個をどの順番で使うか

10個の質問は、実は2つのグループに分かれています。

質問①〜⑦
行動の深掘り
候補者が話したエピソード(ガクチカ・職務経験など)に対して、この7つを順番に、または回答に応じて選びながら使います。「きっかけ→行動→思考→困難→対応→結果→学び」という一連の流れです。全部を毎回使う必要はなく、そのエピソードで確認したいポイントに応じて選んで構いません。
質問⑧〜⑩
志望動機・締め
面接の中盤〜終盤で使う質問です。志望動機の確認→深掘り→逆質問という流れで、面接を締めくくります。

質問した後、次に困らないための一工夫

質問リストを覚えても、実際の面接では「次にどれを使うか」で迷うことがあります。そこでおすすめなのが、面接前にこの10個を印刷したメモを手元に置いておくことです。

最初のうちは、「次に何を聞くか」を考える負担そのものが、面接の緊張感を高めます。手元にリストがあれば、候補者の話を聴くことに集中でき、余裕を持って面接に臨めます。慣れてくれば、自然とこの型が体に染みついていきます。

そして、褒めコメントを挟みたくなったときは、短い相槌にとどめて、この10個のどれかに切り替える——この意識だけで、「何もわからないまま終わる面接」から卒業できます。


まとめ:褒めるより、聞く——型を持てば怖くない

「何を話せばいいかわからない」という不安の裏には、多くの場合、「質問の引き出しが少ない」という単純な理由があります。この10個の質問を型として持っておくだけで、褒めコメントで場をつなぐ必要はなくなります。

面接は、面接官が上手に話す場ではありません。候補者から、必要な情報を引き出す場です。まずはこの10個を手元に置いて、次の面接から試してみてください。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する