面接本番で「何を聞けばいいかわからず、質問が浮かばない」——この悩みの多くは、実は面接前の準備不足が原因です。応募書類を丁寧に読み込み、候補者が実際に行ってきた仕事のイメージを持った状態で面接に臨むと、質問は自然にすらすらと出てきます。この記事では、応募書類から質問ポイントを事前に設計する具体的な方法を解説します。

この記事でわかること

  1. 「質問が出てこない」の正体は準備不足である
  2. 応募書類を読み込む目的——「イメージング」とは何か
  3. イメージングを「決めつけ」にしないための注意点
  4. 応募書類のどこに注目して読むべきか
  5. イメージングから質問を設計する3ステップ
  6. 事前設計した質問の具体例
  7. 準備にかける時間の目安

「質問が出てこない」の正体は準備不足である

「面接で何を聞けばいいかわからない」「候補者の話を聞いても、次の質問が浮かばない」——こうした悩みを持つ面接官は少なくありません。しかし、この悩みの多くは面接官の能力の問題ではなく、事前準備の不足が原因です。

面接前に応募書類を丁寧に読み込み、候補者が行ってきた仕事のイメージを持った状態で面接に臨めば、質問はすらすらと出てきます。逆に、応募書類にざっと目を通しただけで面接に入ると、その場で初めて内容を理解しようとすることになり、質問を考える余裕がなくなってしまいます。


応募書類を読み込む目的——「イメージング」とは何か

ここで大切なのが「イメージング」という考え方です。応募書類に書かれた職歴・経験を読みながら、「この人は実際にどんな場面で、どんな行動を取ってきたのか」を具体的に思い描く作業のことです。

単に文字情報として読むのではなく、「営業として、どんな商談を、どんな相手に、どんな流れで行っていたのか」を頭の中で場面として再現する。このイメージングができていると、「実際に行ってきた行動と考え方を確認する質問」が自然に浮かんできます。

逆に、イメージングができていない状態では、候補者の話を聞いても「なんとなくそうなんだ」で終わってしまい、行動の事実を確認する深掘り質問にたどり着けません。

ここで一つ、注意点があります。イメージングはあくまで「仮説」であり、「決めつけ」にしてはいけません。「この人はきっとこういう人だろう」というイメージが強くなりすぎると、面接本番でそのイメージを裏づける情報ばかりを拾ってしまう危険があります。これは、以前の記事でも触れたハロー効果や第一印象バイアスと同じ構造の落とし穴です。イメージングは「質問を準備するための仮説」であって、「答えを決めつけるための予測」ではない——この線引きを常に意識してください。


応募書類のどこに注目して読むべきか

職務内容の
具体性
「営業を担当」だけの記載か、「新規開拓を中心に、月間◯件の商談を担当」のように具体的か。抽象的な記載ほど、面接での確認が必要です。
実績・成果の
数字
「売上を伸ばした」という記載があれば、「どうやって」「どの程度」「自分の役割は何か」を確認する質問を準備します。
転職・異動の
タイミング
転職や部署異動があった時期には、必ず理由があります。「なぜこのタイミングで動いたのか」を確認する質問の候補になります。
求める人物像との
接点
自社が求める人物像(主体性、課題発見力など)に関連しそうな経験を書類の中から探し、そこを重点的に深掘りする準備をします。

イメージングから質問を設計する3ステップ

ステップ①:書かれている内容を場面として思い描く

「法人営業として新規開拓を担当」と書かれていれば、「どんな業界の、どんな規模の企業に、どうやってアプローチしていたのか」を具体的にイメージします。この段階では、まだ質問は考えず、場面をありありと思い描くことに集中します。

ステップ②:イメージと記載内容のギャップを見つける

イメージングをすると、「ここは書かれているが、実際にどうやったのかがわからない」という空白が見えてきます。この空白こそが、面接で確認すべきポイントです。

ステップ③:空白を埋める質問を具体的に作る

見つけた空白に対して、「実際に行ってきた行動と考え方を確認する質問」を作ります。「なぜ」「具体的にどう」「あなた自身は何を」という切り口で、行動の事実にたどり着く質問を準備します。


事前設計した質問の具体例

応募書類の記載 事前に設計する質問
「チームリーダーとして5名を統括」 「具体的にどんな場面でリーダーシップを発揮しましたか?メンバーとの関わりで工夫していたことは?」
「売上前年比120%を達成」 「その達成のために、あなた自身は何に取り組みましたか?周囲との違いは何だったと思いますか?」
「新規事業の立ち上げに参画」 「立ち上げの中で、あなたが担当した部分は何ですか?一番苦労した場面を教えてください」
「入社1年で部署異動」 「異動のきっかけは何でしたか?その経験は今どう活きていますか?」

準備にかける時間の目安

「忙しくて事前準備の時間が取れない」という声もよく聞きますが、1人あたり5〜10分程度で十分に効果的な準備ができます。

5〜10分でできる事前準備の流れ

①応募書類全体をざっと読む(2分)
まず全体像を把握します。

②気になる記載に印をつけながら読み直す(3分)
抽象的な表現、数字が出てくる部分、転職・異動のタイミングに注目します。

③印をつけた箇所に対応する質問を2〜3個メモする(2〜5分)
「なぜ」「具体的にどう」という切り口で質問を書き出します。

この短い準備の有無が、面接本番での質問の質を大きく左右します。「質問が出てこない」と感じている面接官こそ、この5分間の準備を習慣にすることをお勧めします。


まとめ:イメージングが、すらすら出てくる質問を作る

応募書類を丁寧に読み込み、候補者が実際に行ってきた仕事の場面をイメージすること——このひと手間が、面接本番での質問の質を大きく変えます。イメージングができていれば、質問は自然にすらすらと出てきます。

「何を聞けばいいかわからない」という悩みは、面接官としての能力不足ではなく、準備の習慣がまだ身についていないだけです。次の面接から、ぜひこの5分間の準備を試してみてください。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する