「面接で何を見ればいいか」——この問いに対して、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」は非常に有効な指針になります。私はコミュニケーション研修・面接官トレーニング・提案営業研修・マネジメント研修など幅広い場面でこの社会人基礎力を解説しています。受講者からは「自分の強みと弱みが言語化できた」「部下育成で何に注力すべきかわかった」という声をよくいただきます。面接官がこの12の能力要素を意識するだけで、見極めの視点が格段に具体的になります。この記事では、各能力を面接でどう見極めるかを、実際に使える質問例とともに解説します。
この記事でわかること
- 社会人基礎力とは何か——3つの能力・12の要素
- なぜ面接官は社会人基礎力を知るべきか
- 「前に踏み出す力」3要素の見極め方と質問例
- 「考え抜く力」3要素の見極め方と質問例
- 「チームで働く力」6要素の見極め方と質問例
- 社会人基礎力を面接・部下育成に活かす方法
社会人基礎力とは何か——3つの能力・12の要素
社会人基礎力とは、経済産業省が2006年に提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことです。「3つの能力」と「12の能力要素」で構成されています。
なぜ面接官は社会人基礎力を知るべきか
私はコミュニケーション研修・面接官トレーニング・提案営業研修・マネジメント研修など、さまざまな場面でこの社会人基礎力を解説しています。共通して受講者からいただく声があります。
研修受講者からよく聞く声
・「自分がなんとなく感じていた強みと弱みが、言葉で整理できた」
・「部下育成でどの能力に注力すべきか、言語化できるようになった」(管理職)
・「面接で何を見ればいいかが、具体的になった」(面接官)
社会人基礎力の12の能力要素は、「あの人は仕事ができる」「あの人は使えない」という感覚的な評価を、言語化するための共通言語になります。面接官がこの言葉を知っているだけで、「なんとなくいい感じ」という感覚採用から一歩抜け出せます。
「前に踏み出す力」3要素の見極め方と質問例
主体性——物事に進んで取り組む力
指示を待つのではなく、自ら考えて動けるかどうかを見極めます。
「前職・学生時代に、自分で課題を見つけて取り組んだエピソードはありますか?」
深掘り:「そのとき、なぜ自分から動こうと思ったのですか?」
働きかけ力——他人に働きかけ巻き込む力
周囲を動かし、協力を引き出せるかどうかを見極めます。
「なかなか動いてくれない人を動かした経験はありますか?どうしましたか?」
深掘り:「その人はなぜ動いてくれたと思いますか?」
実行力——目的を設定し確実にやり遂げる力
困難があっても最後までやり抜けるかどうかを見極めます。
「途中で諦めたくなったとき、どうやって乗り越えましたか?」
深掘り:「もし同じ状況に再びなったら、何を変えますか?」
「考え抜く力」3要素の見極め方と質問例
課題発見力——現状を分析し課題を明らかにする力
問題を「与えられる」のではなく「自ら発見できる」かどうかを見極めます。
「前職で『ここを改善すべきだ』と感じて、実際に動いた経験はありますか?」
深掘り:「その問題に気づいたきっかけは何でしたか?」
計画力——課題解決に向けたプロセスを準備する力
行き当たりばったりではなく、段取りを組んで動けるかどうかを見極めます。
「大きなプロジェクトに取り組んだとき、どう段取りしましたか?」
深掘り:「計画通りにいかなかったとき、どう対処しましたか?」
創造力——新しい価値を生み出す力
既存の方法に縛られず、新しいアイデアを生み出せるかを見極めます。
「前例がない状況でどう対応しましたか?」
深掘り:「そのアイデアはどこから生まれましたか?」
「チームで働く力」6要素の見極め方と質問例
発信力——自分の意見をわかりやすく伝える力
「反対意見がある中で、自分の考えを主張したことはありますか?」
深掘り:「相手に伝わりやすくするために、どんな工夫をしましたか?」
傾聴力——相手の意見を丁寧に聴く力
「周囲から『話を聴いてくれる人だ』と言われたことはありますか?」
深掘り:「聴くときに意識していることは何ですか?」
柔軟性——意見の違いや立場の違いを理解する力
「意見が対立したとき、どう対処しましたか?」
深掘り:「相手の立場・考えを理解するために何をしましたか?」
情況把握力——自分と周囲の関係性を理解する力
「チームの雰囲気や状況を読んで、自分の行動を変えた経験はありますか?」
深掘り:「そのとき、チームに何が必要だと判断しましたか?」
規律性——社会のルールや約束を守る力
「ルールに違和感を感じたとき、どう行動しましたか?」
深掘り:「守れなかった経験と、そこからの学びを教えてください」
ストレスコントロール力——ストレスに対応する力
「理不尽だと感じた状況で、どう対処しましたか?」
深掘り:「ストレスを感じたとき、どうやって気持ちを立て直しますか?」
社会人基礎力を面接・部下育成に活かす方法
社会人基礎力の12の能力要素は、面接での見極めだけでなく、幅広い場面で活用できます。
まとめ:12の能力要素を「共通言語」にすることで、採用と育成が変わる
社会人基礎力の3つの能力・12の要素は、「感覚」を「言葉」に変えるための共通言語です。面接官がこの言語を持つことで、見極めの視点が具体的になり、採用会議での議論の質が変わります。管理職がこの言語を持つことで、部下育成の焦点が明確になります。
「なんとなくいい人」を採用するのをやめ、根拠ある見極めができる面接官になる——その第一歩として、ぜひこの12の能力要素と質問例を、明日の面接から使ってみてください。
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田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。コミュニケーション研修・面接官トレーニング・提案営業研修・マネジメント研修など幅広い研修で社会人基礎力を活用した指導を行う実践派講師。年間170回以上の企業研修・講演実績。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する