新卒面接で候補者が語るエピソードは、多くの場合「部活動」「アルバイト」「学業・ゼミ」の3つに大別されます。この3つはそれぞれ性質が異なるため、深掘りすべきポイントも変わります。「頑張ったことは何ですか」という質問だけでは、どのエピソードも同じような表面的な答えで終わってしまいます。この記事では、部活・アルバイト・学業それぞれのエピソード別に、効果的な深掘り質問の作り方を解説します。

この記事でわかること

  1. なぜエピソードの種類によって深掘りの仕方を変えるべきか
  2. 部活動編:深掘りポイントと質問例
  3. アルバイト編:深掘りポイントと質問例
  4. 学業・ゼミ編:深掘りポイントと質問例
  5. 3つのエピソードに共通する深掘りの型
  6. 面接前の準備で質問の質を上げる方法

なぜエピソードの種類によって深掘りの仕方を変えるべきか

新卒面接で聞かれる「学生時代に力を入れたこと」——いわゆる「ガクチカ」は、部活動・アルバイト・学業やゼミ活動のいずれかに集約されることがほとんどです。

しかし、これらのエピソードは構造がまったく異なります。

エピソード 構造の特徴 見えやすい能力
部活動 目標達成に向けた継続的な取り組み、上下関係・チームでの役割 目標達成力、チームワーク、ストレス耐性
アルバイト 対人対応・業務改善・お金が発生する責任感 顧客対応力、課題発見力、実務的な責任感
学業・ゼミ 個人での探究・論理的思考・長期的な計画性 計画力、課題発見力、論理的思考力

それぞれの構造に合った深掘りをすることで、「頑張りました」という表面的な答えの奥にある、本当の能力・思考プロセスが見えてきます。


部活動編:深掘りポイントと質問例

部活動のエピソードでは、「チームの中での自分の役割」と「困難にどう向き合ったか」を確認することが核心です。

部活動編の深掘り質問例

「チームの中で、あなたはどんな役割を担っていましたか?」
「レギュラーになれなかった時期はありましたか?そのときどう向き合いましたか?」
「チーム内で意見が対立したとき、どう対処しましたか?」
「目標を達成できなかった経験はありますか?そこから何を学びましたか?」
「後輩・部員に対して、どんな関わり方をしていましたか?」

注意点:「キャプテンでした」「レギュラーでした」という肩書きだけで評価しないこと。肩書きより、その立場で「何を考え、何をしたか」が重要です。補欠だった候補者にも、その状況でどう向き合ったかという貴重な学びがあることがあります。

アルバイト編:深掘りポイントと質問例

アルバイトのエピソードでは、「対人対応の中での工夫」と「自発的な改善行動」を確認することが核心です。学生にとって初めての「仕事」であるアルバイトには、実務的な能力が表れやすいという特徴があります。

アルバイト編の深掘り質問例

「対応が難しいお客様がいたとき、どう対処しましたか?」
「自分から『こうした方がいい』と提案したことはありますか?」
「ミスをしてしまった経験はありますか?その後どう対応しましたか?」
「一緒に働くスタッフと意見が合わなかったとき、どうしましたか?」
「アルバイトを通して、仕事に対する考え方はどう変わりましたか?」

注意点:「長く続けた」ことだけを評価しないこと。長く続けたこと自体より、その中で「自発的に工夫したか」「課題に気づいて動いたか」を確認する方が、能力の見極めにつながります。

学業・ゼミ編:深掘りポイントと質問例

学業・ゼミのエピソードでは、「なぜそのテーマを選んだか」と「思考のプロセス」を確認することが核心です。個人での探究活動が多いため、論理的思考力・計画力が表れやすい領域です。

学業・ゼミ編の深掘り質問例

「なぜそのテーマ・研究を選んだのですか?」
「研究を進める中で、壁にぶつかった経験はありますか?どう乗り越えましたか?」
「ゼミの中で、意見が対立したことはありますか?どう対応しましたか?」
「計画通りに進まなかったとき、どう軌道修正しましたか?」
「この学びを、社会に出てからどう活かしたいと考えていますか?」

注意点:専門用語や研究内容の説明だけで終わらせないこと。専門知識そのものより、「どう考え、どう進めたか」という思考のプロセスを確認することが目的です。

3つのエピソードに共通する深掘りの型

部活・アルバイト・学業、どのエピソードであっても、共通して使える深掘りの型があります。

1
「なぜ」を聞く——動機・目的を掘る
「なぜそれに取り組んだのですか?」——きっかけ・動機を確認することで、その人の価値観が見えます。
2
「あなた自身は」を聞く——個人の行動を掘る
「その中で、あなた自身は具体的に何をしましたか?」——チームの成果ではなく、本人の行動を確認します。
3
「困難」を聞く——ストレス耐性・問題解決力を掘る
「うまくいかなかったことはありますか?」——困難への対応から、粘り強さ・柔軟性が見えます。
4
「学び」を聞く——自己理解・再現性を掘る
「その経験から何を学びましたか?」——学びを自分の言葉で語れるかどうかで、経験を血肉にできる人材かが見えます。

面接前の準備で質問の質を上げる方法

効果的な深掘りをするためには、面接前のエントリーシート確認が不可欠です。

面接前に準備すべきこと

・ESに書かれたエピソードが「部活・アルバイト・学業」のどれに該当するかを事前に把握する
・その種類に応じた深掘り質問を、事前に2〜3個準備しておく
・ESの記述で「曖昧な表現」「気になる箇所」に印をつけておき、そこを重点的に深掘りする

準備なしに面接に臨むと、どうしても「頑張ったことは何ですか」という表面的な質問で終わってしまいます。事前準備の5分間が、深掘りの質を大きく左右します。


まとめ:エピソードの種類に応じた深掘りが、候補者の実像を映し出す

部活動・アルバイト・学業——それぞれのエピソードには異なる構造があり、見えやすい能力も異なります。「頑張ったこと」を一律に同じ質問で終わらせるのではなく、エピソードの性質に合わせた深掘りをすることが、候補者の本当の実力を見極める鍵です。

「なぜ」「あなた自身は」「困難」「学び」——この4つの型を意識するだけで、どんなエピソードからも本質的な情報を引き出せるようになります。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する