私が行う面接官トレーニングの研修では、必ずロールプレイングを取り入れています。理由はシンプルです。面接スキルはコミュニケーションスキルであり、「頭でわかること」と「実際にできること」はまったく別物だからです。この記事では、なぜロールプレイングが面接スキル向上に不可欠なのか、そして効果的なロープレの進め方について解説します。
この記事でわかること
- 研修で必ずロールプレイングを行う理由
- 「わかる」と「できる」の間にある大きな溝
- 座学だけでは気づけない、自分の癖や弱点
- 効果的なロールプレイングの進め方——5つのステップ
- ロープレを実施する際に気をつけたいポイント
- 一人でもできる、簡易的なロープレの工夫
研修で必ずロールプレイングを行う理由
私が担当する面接官トレーニングの研修では、どんな内容のテーマであっても、必ずロールプレイングの時間を設けています。
だからこそ、頭でわかることと、実際にできることは別物である。
行動質問の作り方、深掘りの技術、心理的安全性の作り方——これらの理屈やテクニックは、講義を聞けば頭では理解できます。しかし、実際にやってみると、思うようにできないのです。この「できない」という体験こそが、受講者がトレーニングの本当の必要性に気づく、最も重要な瞬間です。
「わかる」と「できる」の間にある大きな溝
研修でよく見られる光景があります。座学のパートでは、受講者は皆うなずきながら熱心にメモを取ります。「行動質問が大事」「相手の言葉を拾って深掘りする」——理屈としては、しっかり理解しています。
ところが、いざロールプレイングで実際に面接官役をやってもらうと、状況が一変します。
これは決して能力が低いからではありません。「知識」と「実践」は、まったく別の脳の使い方をするからです。自転車の乗り方を本で読んで理解しても、実際に乗れるようになるには練習が必要なのと同じ構造です。
座学だけでは気づけない、自分の癖や弱点
ロールプレイングのもう一つの大きな価値は、「自分では気づいていない癖」が明らかになることです。
「自分は聴くのが得意だと思っていたが、実際には候補者の話を頻繁に遮っていた」「質問が抽象的すぎて、相手が答えづらそうにしていた」——こうした自分では自覚できない癖は、座学だけでは決して見えてきません。実際にやってみて、フィードバックをもらって初めて気づけるものです。
この「気づき」こそが、研修における最大の学びです。理屈を説明されるだけでは他人事だったことが、ロープレを通して「自分の課題」として実感されます。
効果的なロールプレイングの進め方——5つのステップ
ロープレを実施する際に気をつけたいポイント
一人でもできる、簡易的なロープレの工夫
研修のように相手役を用意できない場合でも、一人でできる練習方法があります。
・実際の候補者を想定し、これから聞きたい質問を声に出して練習する
・過去の面接記録を見返し、「この場面では、こう聞けばよかった」を声に出して言い換える練習をする
・スマートフォンで自分の質問の様子を録音し、聴き直す
・同僚と5分だけでも、質問と回答のやり取りを交換してみる
本格的なロールプレイングに比べれば効果は限定的ですが、「声に出して練習する」という行為そのものに価値があります。頭の中で考えるだけでは得られない気づきが、声に出すことで生まれます。
まとめ:面接スキルは、練習した分だけ確実に上達する
面接スキルはコミュニケーションスキルであり、頭で理解することと、実際にできることは別物です。だからこそ、私は研修で必ずロールプレイングを取り入れています。
理屈を学んだ後、実際にやってみて、うまくいかないことに気づき、フィードバックを受けて修正する——このサイクルを繰り返すことでしか、本当の意味でのスキルは身につきません。ぜひ、次の面接官トレーニングでは、座学だけで終わらせず、ロールプレイングを取り入れてみてください。
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田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。研修では必ずロールプレイングを取り入れ、実践的なスキル習得を支援している。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する