「話が長い」「結局何が言いたいの?」——一度でもこう言われたことがあるなら、それは話す内容の問題ではなく、説明の「組み立て方」の問題かもしれません。説明力とは、生まれ持った才能ではなく、正しい型を知れば誰でも身につけられる技術です。この記事では、コンパクトでわかりやすい説明ができるようになるための、実践的な考え方と型を解説します。

この記事でわかること

  1. 「話が長い人」に共通する3つの特徴
  2. 説明力の土台となる、たった1つの原則
  3. 結論から話す「PREP法」「SDS法」
  4. 話す前の「1分間の設計図」——即興でも組み立てられる技術
  5. 説明が長くなる「3つの余計な情報」を削る
  6. 専門用語・社内用語を「翻訳」する習慣
  7. 説明力を鍛えるトレーニング方法

「話が長い人」に共通する3つの特徴

説明が長く、要点がつかみにくい人には、共通するパターンがあります。

時系列で全部話そうとする
「まず〇〇があって、それから△△になって、次に□□が起きて……」と、経緯をすべて順番に話してしまう。
結論を最後まで言わない
背景・経緯・理由を丁寧に説明した後で、ようやく結論にたどり着く。聞き手は途中で「結局何が言いたいのか」を見失う。
一つの説明に、複数のメッセージを詰め込む
「あれも伝えたい、これも伝えたい」という思いから、一度に多くの情報を盛り込みすぎてしまう。

この3つに共通するのは、「聞き手にとってわかりやすいかどうか」より「自分が知っていることを漏れなく伝えたいかどうか」を優先してしまっていることです。説明力を高める第一歩は、この視点を転換することにあります。


説明力の土台となる、たった1つの原則

数多くの説明の型・テクニックがありますが、その根底にあるのはシンプルな一つの原則です。

結論から話す。

説明が長くなる、わかりにくくなる原因のほとんどは、「結論を最後に持ってくる」という順番にあります。聞き手は、結論がわからないまま説明を聞き続けることに大きなストレスを感じます。逆に、最初に結論がわかっていれば、その後の説明は「なるほど、そういうことか」という理解の補強として受け取ってもらえます。


結論から話す「PREP法」「SDS法」

PREP法——Point→Reason→Example→Point

P
結論——まず結論から話す
R
理由——なぜなら、と理由を添える
E
具体例——実際の事例を挙げる
P
結論——だからこそ、と結論を繰り返す
例:「A案をおすすめします(P)。理由は、コストを抑えつつ納期も短縮できるからです(R)。実際、前回の類似案件でも同じ方式で2週間の短縮ができました(E)。ですので、今回もA案が最適だと考えます(P)」

SDS法——より簡単な型(Summary→Details→Summary)

S
要点——まず話の要点を伝える
D
詳細——要点について詳しく説明する
S
要点——最後に要点を繰り返す

PREP法は「提案・説得」の場面に、SDS法は「報告・共有」の場面にそれぞれ向いています。使う場面によって使い分けてください。


話す前の「1分間の設計図」——即興でも組み立てられる技術

PREP法・SDS法は便利ですが、会話中の即興での説明にはもう少しシンプルな工夫が有効です。話し始める前に、頭の中で次の3つを1分以内に整理する習慣をつけます。

話す前に整理する3つの問い

①一番伝えたいことは、一言で言うと何か
②相手が知りたいのは、結論か、経緯か、次のアクションか
③省いても支障がない情報はどれか

この3つを考えるだけで、頭の中に自然と「話す順番」ができあがります。「何から話すか」を決めてから話し始める——このひと呼吸が、説明の質を大きく変えます。


説明が長くなる「3つの余計な情報」を削る

説明をコンパクトにするには、「足す」より「削る」意識が重要です。次の3つの情報は、多くの場合削っても伝わります。

時系列の
すべて
経緯をすべて話す必要はありません。結論に直結する部分だけを残し、それ以外は「詳しくは後ほど」で構いません。
言い訳・
前置き
「うまく説明できるかわからないのですが」「まとまっていないかもしれませんが」といった前置きは、聞き手にとって不要な情報です。
重複する
説明
同じ内容を、言い方を変えて何度も繰り返す癖がある人は多いです。一度伝わった内容は、繰り返さずに次へ進みます。

専門用語・社内用語を「翻訳」する習慣

説明がわかりにくくなるもう一つの原因が、話し手にとっては当たり前でも、聞き手には伝わらない言葉を使ってしまうことです。

専門用語・業界用語・社内独自の略語を使うときは、初めて聞く人にもわかるように、一言で言い換える習慣をつけます。「これは、簡単に言うと〇〇のことです」という一言を挟むだけで、聞き手の理解度は大きく変わります。


説明力を鍛えるトレーニング方法

説明力は、知識として知るだけでなく、日常の中で練習することで着実に身についていきます。

30秒
要約練習
読んだ本・見たニュース・仕事の出来事を、30秒で要約して人に話す練習を日常的に行います。制限時間があることで、自然と「何を削るべきか」を考える力が鍛えられます。
一言タイトル
をつける
報告や説明をする前に、「これを一言で言うと何か」というタイトルを自分の中で決めてから話し始める癖をつけます。
書いてから
話す
重要な説明の前に、要点を箇条書きで3つ以内にまとめてから話し始めます。書き出す過程で、自然と情報が整理されます。
録音して
聴き直す
自分の説明を録音し、後で聴き直します。「結論はどこにあるか」「どこが冗長だったか」を客観的に確認できる、非常に効果の高いトレーニングです。

まとめ:説明力は、才能ではなく「型」で身につく

「話が長い」「結局何が言いたいのかわからない」と言われる原因の多くは、話す内容そのものではなく、「結論から話す」という順番の問題にあります。PREP法・SDS法という型を持ち、話す前に1分間の設計図を描き、余計な情報を削る——この積み重ねが、コンパクトでわかりやすい説明力を作ります。

説明力は、生まれ持った才能ではありません。正しい型を知り、意識して練習を重ねれば、誰でも確実に身につけられるスキルです。今日から一つ、意識して試してみてください。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。コミュニケーション・傾聴力・提案営業力強化・面接官トレーニングを中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。