面接官トレーニングの研修やセミナーで、私がまず最初にお伝えするのが「面接官の心得」です。中でも特に強く伝えているのが、「面接官:応募者は50:50である」という考え方です。面接は、企業が候補者を一方的に選ぶ場ではありません。お互いに相手を見極め合っている——この前提を忘れると、面接官の態度は簡単に崩れてしまいます。この記事では、私が研修で伝え続けている、面接官が身につけるべき7つの心得を解説します。

この記事でわかること

  1. 心得①:面接官と応募者は「50:50」の対等な関係である
  2. 心得②:上から目線は嫌われ、忖度は舐められる
  3. 心得③:気配り・心配りのホスピタリティを持つ
  4. 心得④:話すより、聴く
  5. 心得⑤:印象ではなく、行動の事実で見極める
  6. 心得⑥:誠実に、包み隠さず伝える
  7. 心得⑦:面接官は「会社の顔」であるという自覚を持つ
  8. 7つの心得に共通する、たった一つの原則

心得①:面接官と応募者は「50:50」の対等な関係である

私が研修で最も強くお伝えしている心得が、これです。

面接官:応募者は、50:50。

お互いに相手を見極めていることを、忘れない。

面接は、企業が候補者を一方的に評価する場ではありません。候補者もまた、面接官の態度・言葉・雰囲気から、「この会社で働きたいかどうか」を見極めています。この対等な関係性を忘れた瞬間、面接官の態度は簡単に崩れてしまいます。


心得②:上から目線は嫌われ、忖度は舐められる

50:50の関係を崩す典型的なパターンが、この2つの極端な態度です。

上から目線
「選んでやっている」という態度が透けて見えると、候補者は不快感を抱きます。優秀な候補者ほど、他社を選び、こちらから見放されます。
過度な忖度
「気に入られたい」という態度が強すぎると、候補者に軽んじられます。厳しく確認すべきことも聴けなくなり、見極めが甘くなります。

上から目線は嫌われ、忖度は舐められる。大切なのは、この両極端のどちらにも寄らない、対等で誠実な姿勢です。


心得③:気配り・心配りのホスピタリティを持つ

面接は、面接官と応募者という「コミュニケーションの場」です。だからこそ、そこには気配り・心配りのホスピタリティが必要です。

遠方から来てくれたことへの感謝、緊張をほぐすアイスブレイク、丁寧な言葉遣い——こうした一つひとつの気配りが、「この会社は、人を大切にする会社だ」という印象を候補者に残します。ホスピタリティは特別なスキルではなく、相手を思いやる意識そのものです。


心得④:話すより、聴く

面接官が話しすぎると、候補者を理解する時間がなくなります。面接官の役割は、上手に話すことではなく、候補者が話しやすい状況をつくり、その人の経験・考え方・行動を具体的に引き出すことです。

質問は短く、一問ずつ。候補者の言葉を拾って深掘りする。沈黙を恐れず、相手が考える時間を待つ。「自分が何を話すか」ではなく、「相手から何を聴くか」——この視点の転換が、面接の質を大きく変えます。


心得⑤:印象ではなく、行動の事実で見極める

「なんとなくいい人だ」という感覚だけで評価すると、話が上手な候補者や、第一印象が良い候補者に評価が引きずられてしまいます。

「具体的に、あなた自身は何をしましたか」「なぜそう判断したのですか」——行動質問・深掘り質問で、印象の裏にある事実を確認すること。これが、採用の精度を上げる見極めの基本です。


心得⑥:誠実に、包み隠さず伝える

候補者に良い印象を持ってもらいたいあまり、良い話だけを並べてしまう面接官がいます。しかし、できることとできないことを誠実に伝えることが、長期的な信頼につながります。

入社後に「思っていたのと違う」というミスマッチを防ぐためにも、包み隠さない誠実な伝え方が、動機づけの本質です。


心得⑦:面接官は「会社の顔」であるという自覚を持つ

候補者にとって、面接官はその会社の「サンプル」です。面接官の態度・言葉・誠実さが、そのまま会社全体の印象になります。

「この面接官のような人たちと、毎日働くことになるのか」——候補者は、この視点で面接官を見ています。一人の面接官の振る舞いが、会社の採用ブランドを左右するという自覚を持つことが、7つ目の心得です。


7つの心得に共通する、たった一つの原則

1
面接官と応募者は50:50の対等な関係である
2
上から目線は嫌われ、忖度は舐められる
3
気配り・心配りのホスピタリティを持つ
4
話すより、聴く
5
印象ではなく、行動の事実で見極める
6
誠実に、包み隠さず伝える
7
面接官は「会社の顔」であるという自覚を持つ

この7つに共通しているのは、「相手を一人の人間として、対等に尊重する」という一点です。50:50の関係を忘れず、上から目線にも忖度にも寄らず、誠実に向き合う——これが、面接官としてのすべての心得の土台になります。


まとめ:心得は「知識」であり、実践して初めて「スキル」になる

7つの心得は、知っているだけでは意味がありません。面接という実際の場で、繰り返し意識し、実践することで、初めて身につくスキルになります。

「面接官:応募者は50:50」——この一言を、次の面接の前にぜひ思い出してみてください。それだけで、面接に臨む姿勢が変わるはずです。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界34年以上、営業・営業マネージャー経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する