「好きな作家は誰ですか?」「お父さんは何のお仕事をされているんですか?」——これらは、面接で絶対に聞いてはいけないNG質問です。就活生のほとんどが「聞かれてはいけない質問がある」と知っている時代に、こうした質問をする面接官がいる会社は、たとえ大手企業であっても「コンプライアンスに問題がある会社」「時代から取り残された会社」という印象を与えます。この記事では、絶対に避けるべきNG質問を体系的にまとめます。
この記事でわかること
- 大手企業でも起きている——研修先で聞いた驚きの実例
- なぜNG質問は「してはいけない」のか——法的背景
- NG質問リスト①:家族・出生・生活環境に関するもの
- NG質問リスト②:思想・信条・宗教に関するもの
- NG質問リスト③:プライバシー・個人情報に関するもの
- NG質問リスト④:身体・健康・容姿に関するもの
- 「悪意はなかった」では通らない——NG質問が企業に与えるダメージ
- NG質問をなくすために、組織として今すぐできること
大手企業でも起きている——研修先で聞いた驚きの実例
3年ほど前のことです。私が研修を担当していた、関西の社員数1000名を超える大手企業での出来事です。
その企業の人事担当者から、こんな話を伺いました。
私は驚きました。1000名を超える大手企業で、しかも部長クラスの管理職が、このようなNG質問を複数名が行っている——。
「好きな作家」は、思想・信条・価値観を探る質問として問題があります。「親の職業」は、家庭環境・出自による差別につながる質問として、採用選考において長年NGとされてきた典型例です。
就活生の多くは、すでにこれらがNG質問であることを知っています。就職活動の情報は今やSNSや口コミサイトで広く共有されており、「面接でこんなことを聞かれた」という投稿はすぐに広まります。
にもかかわらず、聞いてしまう面接官がいる——それはすなわち、その会社が候補者から「コンプライアンス的に問題がある会社」「ハラスメントに寛容な会社」「時代から取り残されている会社」と見られることを意味します。たとえ大手であっても、内定を出しても承諾されないケースが出てきても不思議ではありません。
なぜNG質問は「してはいけない」のか——法的背景
面接でのNG質問は、単なるマナーの問題ではありません。法律的な根拠があります。
NG質問の法的根拠
職業安定法第5条の4——求職者の個人情報は、業務上必要な範囲に限定して収集すること
労働基準法第3条——国籍・信条・社会的身分による差別的取扱いの禁止
男女雇用機会均等法——性別・婚姻・妊娠・出産を理由とした差別の禁止
厚生労働省「公正な採用選考の基本」——応募者の適性・能力に関係のない事項での採否決定の禁止
要するに、採用面接で確認してよい情報は「業務上必要な適性・能力に関すること」のみです。家庭環境・思想・信条・宗教・出自など、仕事の能力と直接関係のない情報を聞くことは、法的にも問題になりえます。
NG質問リスト①:家族・出生・生活環境に関するもの
最も代表的なNG質問のカテゴリです。家庭環境・出自・生い立ちは、仕事の能力とは無関係であり、差別につながる情報として厳しく制限されています。
NG質問リスト②:思想・信条・宗教に関するもの
思想・信条・宗教は、憲法で保障された個人の内心の自由に関わる領域です。採用面接での確認は、信条による差別を禁じた労働基準法に抵触する可能性があります。
NG質問リスト③:プライバシー・個人情報に関するもの
NG質問リスト④:身体・健康・容姿に関するもの
「悪意はなかった」では通らない——NG質問が企業に与えるダメージ
NG質問をしてしまう面接官の多くは、悪意があってやっているわけではありません。「場を和ませようとした」「興味を持ったから聞いた」「昔からずっとそう聞いてきた」——そういうケースがほとんどです。
しかし、候補者にとって「意図」は関係ありません。聞かれた事実だけが残ります。
NG質問が企業に与える4つのダメージ
・「コンプライアンス意識が低い会社」という印象——就活生はすでに知っている
・「ハラスメントに寛容な会社」という印象——面接の雰囲気がそのまま社風と見なされる
・「時代から取り残された会社」という印象——大手であっても例外ではない
・内定承諾率の低下——「こんな質問をされた会社には入りたくない」という判断につながる
SNS・口コミサイトの時代において、「面接でこんなことを聞かれた」という情報はすぐに広まります。1人の面接官のNG質問が、企業全体の採用ブランドを傷つけることを、経営者・人事担当者は強く認識しておく必要があります。
NG質問をなくすために、組織として今すぐできること
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面接官全員にNG質問リストを共有・周知する
「知らなかった」を防ぐために、選考に関わるすべての社員に文書で周知する。このリストをそのまま活用していただいて構いません。 -
面接前に「今日聞くこと」を事前に確認する習慣をつける
面接に入る前に、準備した質問を確認し「これはNGではないか」をチェックする。慣れれば1〜2分でできます。 -
面接官研修でNG質問を正式に教える
NG質問は、面接官研修の必須項目として正式に組み込む。「なぜNGなのか」という背景まで理解させることで、応用が効くようになります。
まとめ:「聞いてはいけないこと」を知ることが、面接官の最低限のスタートライン
「好きな作家は誰ですか?」「お父さんは何をしているの?」——大手企業の部長クラスでも、いまだにこうした質問をしている現実があります。
就活生はすでに知っています。NG質問をする会社は、候補者から「入りたくない会社」と判断されます。
NG質問をしないことは、面接官としての最低限のスタートラインです。その上で、正しい行動質問・傾聴・動機づけのスキルを積み上げることで、初めて採用の精度が上がっていきます。
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田中 和義
株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。面接官トレーニング・採用力強化・傾聴力・コーチング・ハラスメント防止・Z世代マネジメント・提案営業力強化を中心に、現場で使えるスキルの習得を支援している。2026年8月、著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』を発売予定。