私が行う面接官トレーニングの研修では、必ずロールプレイングを取り入れています。理由はシンプルです。面接スキルはコミュニケーションスキルであり、「頭でわかること」と「実際にできること」はまったく別物だからです。この記事では、なぜロールプレイングが面接スキル向上に不可欠なのか、そして効果的なロープレの進め方について解説します。

この記事でわかること

  1. 研修で必ずロールプレイングを行う理由
  2. 「わかる」と「できる」の間にある大きな溝
  3. 座学だけでは気づけない、自分の癖や弱点
  4. 効果的なロールプレイングの進め方——5つのステップ
  5. ロープレを実施する際に気をつけたいポイント
  6. 一人でもできる、簡易的なロープレの工夫

研修で必ずロールプレイングを行う理由

私が担当する面接官トレーニングの研修では、どんな内容のテーマであっても、必ずロールプレイングの時間を設けています。

面接スキルは、コミュニケーションスキルである。
だからこそ、頭でわかることと、実際にできることは別物である。

行動質問の作り方、深掘りの技術、心理的安全性の作り方——これらの理屈やテクニックは、講義を聞けば頭では理解できます。しかし、実際にやってみると、思うようにできないのです。この「できない」という体験こそが、受講者がトレーニングの本当の必要性に気づく、最も重要な瞬間です。


「わかる」と「できる」の間にある大きな溝

研修でよく見られる光景があります。座学のパートでは、受講者は皆うなずきながら熱心にメモを取ります。「行動質問が大事」「相手の言葉を拾って深掘りする」——理屈としては、しっかり理解しています。

ところが、いざロールプレイングで実際に面接官役をやってもらうと、状況が一変します。

深掘りしようとして、質問が思い浮かばず沈黙してしまう
「あなた自身は何をしましたか」と聞くつもりが、気づけば自分が話し続けている
緊張して、事前に決めていた質問の順番をすべて忘れてしまう

これは決して能力が低いからではありません。「知識」と「実践」は、まったく別の脳の使い方をするからです。自転車の乗り方を本で読んで理解しても、実際に乗れるようになるには練習が必要なのと同じ構造です。


座学だけでは気づけない、自分の癖や弱点

ロールプレイングのもう一つの大きな価値は、「自分では気づいていない癖」が明らかになることです。

「自分は聴くのが得意だと思っていたが、実際には候補者の話を頻繁に遮っていた」「質問が抽象的すぎて、相手が答えづらそうにしていた」——こうした自分では自覚できない癖は、座学だけでは決して見えてきません。実際にやってみて、フィードバックをもらって初めて気づけるものです。

この「気づき」こそが、研修における最大の学びです。理屈を説明されるだけでは他人事だったことが、ロープレを通して「自分の課題」として実感されます。


効果的なロールプレイングの進め方——5つのステップ

1
候補者役の設定を明確にする
「新卒・部活経験あり」「中途・営業職・転職理由が明確でない」など、具体的な人物像を設定します。設定が曖昧だと、練習の効果が薄れます。
2
練習したいテーマを1つに絞る
「今回は深掘り質問だけに集中する」「今回はアイスブレイクだけを練習する」など、一度に欲張らず、テーマを絞ることで上達が早まります。
3
実際に本番と同じ時間で行う
5分程度の短い練習ではなく、実際の面接時間(20分・30分など)に近い形で行うことで、時間配分の感覚も同時に鍛えられます。
4
候補者役からフィードバックをもらう
「答えやすかった質問」「答えにくかった質問」を、実際に候補者役を演じた人から率直に聞きます。この生の感想が、最も価値のある学びになります。
5
同じ設定でもう一度練習する
1回で終わらせず、フィードバックを踏まえてすぐにもう一度挑戦します。この「やり直し」の中でこそ、実際の改善が起こります。

ロープレを実施する際に気をつけたいポイント

失敗を歓迎する雰囲気を作る
ロープレの場で失敗することは、本番で失敗しないための貴重な機会です。「うまくできなくて当然」という空気を作ることが、練習の質を高めます。
フィードバックは「事実」と「改善案」をセットで伝える
「質問が長かった」で終わらせず、「こう言い換えるともっと伝わりやすい」という具体的な改善案までセットで伝えます。
可能であれば録画・録音する
自分の面接の様子を客観的に見返すことで、他人からの指摘以上に強い気づきが得られることがあります。

一人でもできる、簡易的なロープレの工夫

研修のように相手役を用意できない場合でも、一人でできる練習方法があります。

・実際の候補者を想定し、これから聞きたい質問を声に出して練習する
・過去の面接記録を見返し、「この場面では、こう聞けばよかった」を声に出して言い換える練習をする
・スマートフォンで自分の質問の様子を録音し、聴き直す
・同僚と5分だけでも、質問と回答のやり取りを交換してみる

本格的なロールプレイングに比べれば効果は限定的ですが、「声に出して練習する」という行為そのものに価値があります。頭の中で考えるだけでは得られない気づきが、声に出すことで生まれます。


まとめ:面接スキルは、練習した分だけ確実に上達する

面接スキルはコミュニケーションスキルであり、頭で理解することと、実際にできることは別物です。だからこそ、私は研修で必ずロールプレイングを取り入れています。

理屈を学んだ後、実際にやってみて、うまくいかないことに気づき、フィードバックを受けて修正する——このサイクルを繰り返すことでしか、本当の意味でのスキルは身につきません。ぜひ、次の面接官トレーニングでは、座学だけで終わらせず、ロールプレイングを取り入れてみてください。

📖 好評発売中

採用を成功に導く面接官超入門

部活・アルバイト・学業別のロールプレイ台本を実践的に解説しています

📖 Amazonで購入する 📖 楽天ブックスで購入する

あわせて読みたい記事


ロールプレイング形式の面接官トレーニングを受けたい方へ

面接官トレーニング研修の導入、個人での動画学習、無料相談など、目的に合わせてご活用ください。

面接官トレーニング
研修の詳細を見る
研修・講演の
無料相談をする
Udemy(動画)
講座はこちら

田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。研修では必ずロールプレイングを取り入れ、実践的なスキル習得を支援している。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する