「オンライン面接だと、対面よりも見極めが難しい」——面接官トレーニングの研修では、必ずと言っていいほどこの質問をいただきます。私がいつもお答えしているのは、オンライン面接の特徴は、非言語情報が伝わりづらいことだという点です。表情の微妙な変化、視線の動き、場の空気感——これらが画面越しでは読み取りにくくなります。だからこそ、その伝わりにくさを補う工夫が必要になります。この記事では、オンライン面接特有の難しさと、それをカバーする具体的な工夫を解説します。

この記事でわかること

  1. 研修で必ず聞かれる「オンライン面接の見極めの難しさ」
  2. なぜオンライン面接では、非言語情報が伝わりにくいのか
  3. 伝わりにくさを補う工夫①:面接官自身の非言語表現を増幅する
  4. 伝わりにくさを補う工夫②:質問と確認の技術で補う
  5. 伝わりにくさを補う工夫③:環境・機材を整える
  6. 伝わりにくさを補う工夫④:候補者にも配慮を伝える
  7. オンライン面接チェックリスト

研修で必ず聞かれる「オンライン面接の見極めの難しさ」

面接官トレーニングの研修を行うと、必ずと言っていいほど、こうした質問をいただきます。

「オンライン面接だと、対面よりも候補者の見極めが難しく感じます。どうすればいいですか」

この感覚は、決して気のせいではありません。オンライン面接には、対面面接とは異なる、構造的な難しさが存在します。


なぜオンライン面接では、非言語情報が伝わりにくいのか

私が研修でいつもお伝えしているのは、オンライン面接の最大の特徴は、非言語情報が伝わりづらいことだという点です。

画面が「顔だけ」に限定される
対面であれば見える姿勢・手の動き・全身の雰囲気が、画面には映らない。
視線が合っているように見えない
カメラと画面の位置がずれているため、実際は見ていても、視線が外れているように見えてしまう。
間や沈黙の質感が変わる
通信のわずかなラグにより、対面での自然な間合いが伝わりにくく、会話のテンポが取りづらい。
場の空気感が伝わらない
対面なら自然に感じ取れる緊張感・リラックス感といった「場の空気」が、画面越しでは薄れてしまう。

これらはすべて、「候補者の力不足」ではなく「オンラインという形式の特性」です。この前提を理解した上で、意識的に補う工夫が必要になります。


伝わりにくさを補う工夫①:面接官自身の非言語表現を増幅する

非言語情報が伝わりにくいなら、面接官自身が、いつもより意識的に非言語表現を大きくすることが有効です。

・うなずきは、対面のときより少し大きく、はっきりと行う
・相槌の声は、いつもより一段明るいトーンで発する
・表情の変化(微笑む、驚くなど)を、意識してやや大きめに出す
・カメラの目線に合わせて話し、「見ています」という印象を作る

これは、面接官が意図的に非言語情報を「増幅」して発信することで、候補者にも安心感が伝わりやすくなり、結果として候補者からの表現も自然になるという効果があります。


伝わりにくさを補う工夫②:質問と確認の技術で補う

表情や態度から読み取りにくい分、「言葉で直接確認する」ことが、オンライン面接では特に重要になります。

感情を推測せず、言葉で尋ねる
「今の質問、答えにくい部分はありましたか」と、表情から読み取ろうとせず直接確認します。
回答の理解度を、要約させて確認する
画面越しでは「わかったふり」も見抜きにくいため、「今の内容を一言でまとめると?」と確認する質問を増やします。

伝わりにくさを補う工夫③:環境・機材を整える

・カメラの位置を目線の高さに合わせ、視線が合いやすいようにする
・照明を顔に当て、表情が見えやすい環境を整える
・マイクの質を確認し、声のトーンや微妙な間が正確に伝わるようにする
・通信環境を事前にテストし、映像・音声の乱れによる誤解を防ぐ

機材や環境の不備は、非言語情報の伝達をさらに悪化させる要因になります。面接官側の環境を整えることは、候補者を正しく見極めるための、地味ですが重要な準備です。


伝わりにくさを補う工夫④:候補者にも配慮を伝える

非言語情報が伝わりにくいのは、面接官だけでなく候補者にとっても同じです。候補者が安心して力を発揮できるよう、こちらから配慮を言葉で伝えることも効果的です。

「画面越しだと緊張されるかもしれませんが、リラックスしてお話しください」
「聞き取りにくい部分があれば、遠慮なくおっしゃってください」

こうした一言が、候補者の緊張をほぐし、結果としてより自然な受け答えを引き出すことにつながります。


オンライン面接チェックリスト

□ カメラは目線の高さに合わせているか
□ 照明は顔がはっきり見える明るさか
□ マイク・通信環境は事前にテスト済みか
□ うなずき・相槌は、対面より意識して大きくしているか
□ 感情や理解度を、推測せず言葉で確認しているか
□ 候補者への配慮の一言を、冒頭で伝えているか


まとめ:伝わりにくさを前提に、意識的に補う

オンライン面接の難しさは、候補者の能力の問題ではなく、「非言語情報が伝わりにくい」という、形式そのものの特性から生まれています。この前提を理解した上で、面接官自身の表現を増幅し、言葉での確認を増やし、環境を整え、候補者への配慮を伝える——これらの工夫を積み重ねることで、オンラインでも対面に劣らない見極めが可能になります。

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田中 和義

田中 和義

株式会社エス・シー・ラボ 代表。人材ビジネス業界35年以上、管理職経験25年以上。この6年間、面接官トレーニングのセミナー・企業研修を日本全国で展開し、年間170回以上の企業研修・講演を行う実践派講師。2,000人以上の面接官・経営者へのトレーニング実績を持つ。著書『採用を成功に導く面接官超入門 失敗しない見極め&動機づけの実践スキル』好評発売中。Amazonで購入する 楽天ブックスで購入する